実はクルマも相続対象!! 愛車の「終活」 覚えておきたい基本と注意点

実はクルマも相続対象!! 愛車の「終活」 覚えておきたい基本と注意点

 2012年に新語流行語大賞のトップ10に選ばれた「終活」。昨今では、生前贈与や整理、葬儀や財産分与などを、生きているうちから考えることが、一般的になってきた。

 財産というと、持ち家などの不動産や、現金・有価証券などの金融資産を想像するが、身近にある「クルマ」も相続する財産(資産)となるのを知っているだろうか。今回は、銀行と自動車ディーラーに勤務し、クルマの相続に何度も立ち会ってきた筆者が、準備や手続きについて解説していく。

※本稿では、基本的な相続に関する事項を解説しています。さらに詳しい情報は、国土交通省運輸局、法務省等の公的機関で確認してください。また、個別のケースに関しては、相続手続きを行う弁護士などへ相談してください。

文/佐々木亘
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クルマも立派な不動産? 相続対象になるクルマとならないクルマの違い

遺産の一つとなるクルマだが、登録車か届出車で、所有者が亡くなったあとの取り扱いが大きく異なる ※写真はイメージ画像です(mats – stock.adobe.com)
遺産の一つとなるクルマだが、登録車か届出車で、所有者が亡くなったあとの取り扱いが大きく異なる ※写真はイメージ画像です(mats – stock.adobe.com)

 相続とは、ある人が亡くなったときに、その人の財産を特定の人々が引き継ぐことを指す。「遺産相続」という言葉が一般的だが、これを理解するうえで、まずは「遺産」に当たるものは何かを確認しなければならないだろう。

 遺産は具体的に、現金や預貯金、株式などの有価証券、クルマや貴金属、不動産(土地・建物)といったプラスの財産と、借金、未払金といったマイナスの財産のことだ。これらのすべてを、法定相続人が決められた割合で相続していく。(公正証書遺言などがある場合は、遺言に従って相続する。一部例外あり)

 クルマは遺産の一つとなるが、その取扱いは種類によって異なる。登録車(白・緑ナンバーのクルマ)は、土地建物などの不動産に属性が近く、細かな相続手続きが必要だ。対して届出車(軽自動車等)は遺産相続の対象にならないことが多い。

 同じクルマでも、登録車か届出車で、所有者が亡くなったあとの取り扱いが大きく違うということを覚えておきたい。

クルマの相続ってどうするの? 基本的な手続きの方法を教えます

 まずは、そのクルマが本当に亡くなった人の所有物であったことを確認しよう。自動車検査証(車検証)を手に取り、「所有者」の欄を見てほしい。亡くなった人がメインで使っていたが、実は配偶者の名義だったなどということは、よくあるケースだ。所有者欄に亡くなった人の名前があることを確認し、それが登録車であれば、遺産相続の手続きに進んでいこう。

 クルマは分割して相続することは出来ないので、相続人のうち、誰か一人が相続することを決めなければならない。誰が相続するかが決定したら、遺産分割協議書を作り、その相続人に名義変更する。

 特定の相続人に名義変更をする場合、必要となる書類は次のとおりだ。

・自動車検査証(車検証)原本
・戸籍(除籍)謄本(戸籍の全部事項証明書):所有者の死亡事実が確認でき、さらに相続人全員が確認できるもの
・遺産分割協議書:相続人全員(新所有者を含む)が実印を押印したもの
・新所有者となる相続人の印鑑証明書:発行から3カ月以内のもの
・新所有者の実印(本人が手続きをしない場合は実印を押した委任状)
・新所有者が取得した車庫証明:発行から1カ月以内のもの

 遺産分割協議書を作らない場合には、相続人全員の印鑑証明書と委任状(実印押印)、譲渡証明書(実印押印)でも手続きは出来る。しかし、これらをすべて揃えるのは非常に難しいため、一般的には遺産分割協議書で手続きを進めることが多い。

 また、相続するクルマの査定額(相続時点での評価額)が100万円以下の場合は、遺産分割協議書に変わって、「遺産分割協議成立申立書」を利用することができる。この場合、相続人全員の実印押印書類は必要なく、申請人(相続人=新所有者)の押印だけで書類が完成するため、手続きは簡素化されることを覚えておきたい。

 なお、軽自動車の場合は、亡くなった人の戸籍謄本と、死亡の事実を確認できる戸籍(除籍)謄本を揃えれば、新所有者の委任状(実印)と車庫証明、車検証の原本で、名義変更を行うことができる。

次ページは : 所有者をディーラーにする? クルマの相続で使える技

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