前・中期型と後期型(5型以降)は別物!?―― 3代目RX-7(FD3S型)の魅力と知られざる真実 〜『エンスー解放戦線』番外編〜

■後期型を仕上げたマツダ開発陣の魂に涙!

清水 ところでさ、俺の記憶では、1991年にFDが登場した当時は、操縦性の怖いクルマだったと思うんだ。
渡辺 かなりピーキーでしたね。
清水 すごく軽量化にこだわって仕上げたけど、軽くしすぎたのか、なんかちょっとボディが頼りない感じがした。
渡辺 最初は255馬力で、車両重量が1250kgとかそんなもんでした、当時、パワーウェイトレシオ5kg/ps切りってのがひとつの基準で、それをギリギリクリアしたんだと思います。
清水 当時の俺はフェラーリ一神教で、ロータリーの気持ちよさもあんまり理解できなかったから、全体にストイック過ぎるクルマだと思ったんだよ。FDって、どこかフェラーリっぽい雰囲気もあるじゃない。デザインとか特に。イタリアで赤いFDで走ってたら、イタリア人たちが『ワオ、フェラーリだ!』って騒いだって話があるくらいで。
渡辺 イタリア人は、あんまりフェラーリを見たことなかったですからねぇ。
清水 それもあって、FDをプアマンズフェラーリ的に見てしまう部分もあって、あんまり刺さらなかったんだ。それが変わったのは、1999年に5型、つまり後期型が出た時なんだよ!

1999年のマイナーチェンジで最高出力は280馬力に(AT仕様は255馬力のまま)。写真は「タイプRS」
1999年のマイナーチェンジで最高出力は280馬力に(AT仕様は255馬力のまま)。写真は「タイプRS」

渡辺 タイプRSとタイプRの5速MTが280馬力になった時ですね。
清水 箱根ターンパイクの試乗会で乗って、手が震えたよ。なにもかも思いどおりに動いてくれた。今までのFDとは全然違う! これはまるでポルシェ944ターボだ! って。ボディも断然しっかりした印象で。280馬力へのパワーアップよりも、ボディ剛性のアップやサスペンションセッティングの見直しの効果が凄いって感じた。
渡辺 ブッシュまわりとか、徹底的にやったみたいです。
清水 当時FDって、もう全然売れなくなってて、マツダも経営危機だったし、ロータリーの消滅まで秒読みって雰囲気だったじゃない。そんななか、滅亡寸前のロータリースポーツをあそこまで仕上げたマツダ開発陣の魂に涙が出そうになった。俺としては、前期型・中期型と5型以降の後期型とは別物だよ!

■最後の限定車は長い間売れ残っていた!?

渡辺 いま相場が上がってるのも後期型ですね。
清水 いまはもう新車当時のパワースペックや足まわりのセッティングより、経年による個体差のほうがデカいんだろうし、そもそもFDを全開で走らせる人なんか、ほとんどいなくなってそうだけど。
渡辺 いないでしょうねぇ。
清水 たまに首都高でFDを見かけると、ものすごくゆっくり走ってるよ!
渡辺 ウチのFDは、たまにカバーめくって、生存確認するくらいですウフフ~
清水 多くがそんな感じだろうね、たまにエンジンかけてオイル回してバッテリー充電するくらいで。クラシック・フェラーリと同じ超過保護状態!
渡辺 植物状態とも言えますねウフフ~。ほとんどのFDが、改造されてサーキットとか峠とかでいじめられましたから、いま生き残ってるのは、いじめを免れた個体が多いと思います。でもFDって、多少なりともいじるのは大前提でした。どノーマルだとタイヤとホイールの隙間がスカスカで、まるでカッコ悪いんですよ。
清水 えっ、そうだっけ!?
渡辺 この当時はまだ、チェーンが装着できなきゃダメだったんだと思います
清水 それも鎖のチェーンね……。

2002年に発売された最後の限定車「スピリットR」では、BBS社製17インチホイール、レッド塗装ブレーキキャリパー、専用のソフト塗装インテリアパネルなどが採用された
2002年に発売された最後の限定車「スピリットR」では、BBS社製17インチホイール、レッド塗装ブレーキキャリパー、専用のソフト塗装インテリアパネルなどが採用された

渡辺 僕も、今のFDを買ってすぐ、車高調入れて車高落としてトレッドも10mm出しました。で、全損したRBのウイングなしトランクが残ってたんで、ハデなリアウイング付きのトランクはヤフオクで売っちゃいました。
清水 ええっ! いくらで売れたの?
渡辺 たしか3万円くらいだったと思います。
清水 3万円かぁ~。今だったらいくらするんだろうね。
渡辺 まさかこんな歴史的な名車に祭り上げられるなんて、思ってもいませんでしたからねぇ。最終のスピリットRも、限定1500台、ずいぶん長い間売れ残ってた記憶があります。
清水 タイムマシンがあれば買いに行きたい! って人がいっぱいいるだろうね!

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