値上げの4月突入から間もなく1カ月! 首都高の上限料金値上げで何がどう変わるのか!?

■上限金額に達するのは利用者全体の約3%ほど。意外に少ないと見るべきなのか⁉

 ただし、値上げ額は利用距離によってさまざまだ。14%のうち、42kmまでの利用が半分弱を占めており、この程度なら値上げ額は大きくない。上限の1950円に達するのは、全体の約3%だ。

 利用距離ごとの値上げ率の加重平均を計算したところ、料金収入の増加は3%程度と出た。利用者にとっては、平均して約3%の値上げということになる。

 逆に値下げされるのは、まず深夜だ。0~4時の利用は2割引になった。深夜の利用率は全体の約6%。つまり、これによって料金収入は1.2%減少する。ただ、深夜に首都高を利用するのはタクシー、トラック、バスが8割を占めていて、一般ユーザーの利用は非常に少ない。

■物流業者等、料金値上げが死活問題となる利用者には値下げ幅が拡大する

 もうひとつの値下げは、主に物流業者が利用するETCコーポレートカードの割引率拡大だ。専門用語だと「大口・多頻度割引のさらなる拡充」となる。具体的には以下のような内容だ。

「車両単位割引の基本割引率について、これまでの最大20%からさらに最大25%まで拡充するとともに、その割引対象額のうち、中央環状線の内側を通過しない利用分については、これまでの割引率5%からさらに10%まで拡充します。その結果、大口・多頻度割引は、これまでの最大35%から最大45%(車両単位最大35%+契約単位10%)まで拡充されます」(首都高のHPより)

 大口・多頻度割引の計算は複雑で、詳細な利用データもない。すべての利用の割引率が10%拡大されるわけではないが、ざっと推測すると、平均割引率は従来より7~8 %程度上昇する。つまり、ETCコーポレートカードの利用者にとっては、これまでの平均30%割引(推測)が37~38%割引(同)となり、10%ほど負担が減少する。

 首都高の場合、ETCコーポレートカードの利用率は、約3割を占めている。つまり、これによる料金収入の減少幅は、約3%となる。

■値上げの言葉が目立つが実際は利用実態に合わせた調整であり、今回の実施による首都高の収入増は1%程度だ

物流業者にとって高速道路料金の値上げは収益悪化に直結する頭の痛い問題。これまでも深夜料金・早朝割引を活用するなど、努力は続けているが……( <a href=11thAlbum@Adobestock)" class="wp-image-412649" width="600px" height="424px"/>
物流業者にとって高速道路料金の値上げは収益悪化に直結する頭の痛い問題。これまでも深夜料金・早朝割引を活用するなど、努力は続けているが……( 11thAlbum@Adobestock)

 もうひとつ見落としてはいけないのは、中型車と特大車の値上げだ。

 首都高は6年前まで、「普通」と「大型」の2車種区分だったが、2016年の料金改定時、NEXCOと同じ5車種区分に変更された。ただし、従来「普通」扱いだった中型車(4トン積トラックなど)と、従来「大型」扱いだった特大車(大型トレーラー)は、区分の変更によって大幅な値上げになってしまうので、激変緩和措置として暫定車種間比率が導入され、値上げが抑えられていた。

 今回、その暫定比率が撤廃され、普通車に対して中型車は1.07から1.2に、特大車は2.14から2.75になった。つまり、中型車は約12%、特大車は29%の値上げだ。中型車・特大車の利用者は、大きな負担増になる。

 ただ、この影響は、全体から見るとそれほど大きくない。首都高の交通量のうち、中型車は12%、特大車は1.8%と少ないからだ。これによる料金収入の増加も、2%程度にとどまる。

 以上、料金改定による首都高の料金収入の変化をまとまると、このようになる。

●上限料金の値上げ/3%増

●深夜割引新設/1.2%減

●大口多頻度割引の拡充/約3%減(?)

●中型車・特大車の値上げ/2%増

<合計/約1%増>


 このように、今回の料金改定で、首都高の料金収入は微増するという計算になった。つまり、利用者にとっては若干の値上げである。

 これはあくまで平均値であり、個々の利用者ごとに事情は異なる。一般ユーザーにとっては、おおむね上限料金の値上げだけが関係するし、中型車や特大車のユーザーは、大幅な負担増が避けられない。

 ただ、中型車や特大車といったトラックユーザーは、大部分が物流業者。値上げ対象外の普通トラックや大型トラックも所有しているケースが多く、大口・多頻度割引の拡充や深夜割引の新設が効いて、平均3~4%程度の負担減となるはずだ。

 物流業者は負担減になるという私の推計は、全国トラック協会の動向が証明している。同協会はこれまで、首都高の値上げのたびに大反対運動を行ったが、今回の料金改定に関しては無反応だ。全国トラック協会が今、最も問題視しているのは燃料価格の高騰で、首都高の料金については何も言っていない。

次ページは : ■今回の料金変更でますます首都高の利用方法は「短距離型」に移行するだろう

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

あのトヨタスターレットが再び公道に舞い降りる!? 日産×ホンダ協業分析など新社会人も楽しめるゾ「ベストカー5月10日号」

トヨタの韋駄天が覚醒する! 6代目NEWスターレットのSCOOP情報をはじめ、BC的らしく高級車を大解剖。さらに日産・ホンダの協業分析、そして日向坂46の富田鈴花さんがベストカーに登場! 新社会人もベテランビジネスマンまで、誰もが楽しめるベストカー5月10日号、好評発売中!