■納期が短めなガソリン車を勧められることも
トヨタ以外のメーカーでも、人気モデルは納期遅延が深刻になっているケースが目立つ。HEVやPHEV(プラグインハイブリッド車)がより納車までに時間がかかる傾向も同じ。
ただし、自社ウエブサイトで工場出荷時期の目途をモデル別に公表しているトヨタやホンダの車種別一覧表を見ていると、ここ最近の傾向として、同じモデルでHEVとガソリン車がある場合でも工場出荷時期の目途がそれほど変わらないケースが目立ってきている。
生産割合や生産調整などが、メーカーや車種によって異なるので一概にはいえないが、HEVの納期遅延がより深刻なので、納期が短めなガソリン車が選ばれる(セールスマンが勧める)ケースも目立ってきているようである。
筆者は2019年に現行カローラセダンとツーリングがデビューする時に、正式発売前に“予約”という形でカローラセダンのガソリン車を購入した。購入したディーラーでの予約第1号でもあったのだが、工場出荷が発注後1カ月半ほど、そして納車が正式発売から10日後ほどと短期間で納車になったことに驚かされた。
担当セールスマンいわく、「受注はHEVに集中しており、ガソリン車を選ばれるお客様がかなり少数だったので納期が早くなったようだ」と説明してくれた。コロナ禍前には一般的には同じモデルでHEVとガソリン車がある場合には、HEVに受注が集中し、ガソリン車より納期が遅れるケースが目立った。
先代ノア&ヴォクシーでは、発売直後はHEVに受注が集中したのだが、先代ではHEVとガソリンとでは燃費にそれほど際立った差がないとのことで、ガソリン車に受注が多く集まるようになり、HEVのほうがダブついて納期が早くなるという事態も発生していたが、これは特殊なケースといってもいいだろう。
■トヨタ車にみるハイブリッド車とガソリン車の納期
現状のトヨタの様子をみると(ウエブサイト上の4月22日時点での情報)、例えば発売以来高い人気を維持しているヤリスクロスはHEV、ガソリン車を問わず工場出荷時期の目途は発注後6カ月(納車予定は約7カ月後/工場出荷時期の目途に1カ月加えるのがおおよその納期目途と販売店で聞いた)。
カローラセダン、ツーリング、スポーツ(いまはオーダーストップになっているとのこと)では、ガソリン車が5カ月(納車予定は約6カ月後)、HEVが5~6カ月(納車予定は約6カ月から7カ月)と、ガソリン車のほうが若干ではあるが納期は短くなっている。
ノア&ヴォクシーは出荷時期目途ベースでガソリン車が4~5カ月、HEVでは6カ月以上となっており、HEV、ガソリン両方で仕様や選択オプションでさらに時期が異なるとのことなので、納期遅延が続くなかでもガソリン車のほうが納期は早めで、比較的時期も読める状況になっているようだ。
現状ではどのメーカーでも、ある車種で納期が大幅に遅れているということだけでなく、“いつになるのかがわからない”ケースが目立ち、それが現場の混乱を招いているのである。
ちちなみに、本稿執筆時点中にアルファード&ヴェルファイアに新たな特別仕様車が設定されたが、このタイミングで法規対応の改良が行わたと聞いている。
ガソリン車、HEVともに新型ノア&ヴォクシーに比べれば納期は短めに推移しているようなので、利益率も飛びぬけて高いモデルでもあり、今後は再びフルブーストでトヨタの現状での“稼ぎ頭”となっていきそうである。
ダイハツからのOEM(相手先ブランド供給)車は比較的納期が短めに推移しているとのことだが、ライズの“eスマート”仕様は納期遅延になっているとのこと。
ガソリン車のみのラインナップとなり、人気車となっているルーミーは工場出荷時期の目途が1~2カ月なので2~3カ月で納車可能ともいえ、トヨタ系ディーラーセールスマンにとって現状では販売メイン車種にもなっていると聞く。
同クラスのヤリスは、納車予定ベースでHEVが約4~5カ月、ガソリン車で約5~6カ月とHEVとガソリン車で逆転現象のような状況となっているようにも見えるが、ダイハツからの同クラスOEMのなかで、ルーミーならば明らかに納車が早まっているといっていいだろう。
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