■電化へとシフトする時代にガソリン車購入は正しいのか
ホンダはヴェゼルが、工場出荷時期目途ベースでガソリン車が3カ月、HEVで半年以上と明らかな差が出ているが(PLaYのオーダーストップは継続中)、そのほかにガソリン車とHEVをラインナップする車種は工場出荷時期の目途に差がない車種が多い。
ちなみに本稿執筆段階ではこのような状況だったのだが、その後改めて確認すると、ガソリン車の工場出荷時期の目途が6カ月程度に延びていた。生産の都合なのか、ガソリン車にニーズが集まったのかは確認できていない。
本稿執筆時点で未発売の新型ステップワゴンでは、工場出荷時期目途ベースでガソリン車が4カ月程度(一部仕様やボディカラーでは半年)、HEVが5カ月程度とやや差が出ている(その後ガソリンが5カ月程度と延びてHEVと同じになってしまった)。
トヨタもホンダもHEVとガソリン車の納期は、HEVがやや納期がかかるというのが現状ともいえるが、事情はどうあれガソリン車の納期もじわじわと延びてきている傾向が目立ってきている。ただ、納期の混乱(いつになるかわからない)という点では、ガソリン車のほうが状況を把握しやすいとの話もある。
納期遅延が顕著となる以前と比べれば、ガソリン車とHEVの納期の差は縮小傾向にあるように見えるのが、現場のセールスマンが誘導しているのか、消費者が選択しているのかは、はっきりと確認できないが、納期重視でガソリン車が選ばれるケースもこの傾向に少なからず影響を与えているということはできそうだ。
日本政府も諸外国同様に“カーボンニュートラル”を掲げているが、その達成目標時期は2050年となっている。その前に、2030年代半ばに電動車以外の販売を禁止するとしているが、その電動車にはHEVやPHEVも含まれている。
もちろん、2030年代半ば以降もガソリン車は継続的に乗ることはできるので、2022年にガソリン車を購入してもすぐに乗り続けることができなくなることはない。
危惧すべき点としては、今後税制改正などを行い電動車よりガソリン車の自動車関係諸税が高くなるなど、維持費の面で差がつくことは十分考えられるが……。
■ガソリン車も捨てたものではない
日本メーカーのガソリンエンジンは世界トップレベルの燃費性能や環境性能をいまも維持している。欧州系ブランドが躍起になって車両電動化を進めているのも(BEVメイン)、ガソリンエンジンでは日本メーカーと勝負にならないことも影響しているとの話もある(つまり日本メーカー潰し)。
日本より電力供給がギリギリともいえる新興国などでは、中国系メーカーが車両電動化をじわじわと進めようとしているが、これもある意味“日本メーカー潰し”という側面も目立つ。
一般的なメディア報道では“内燃機関=悪”というイメージを強く受けるが、ゼロエミッションのBEVばかりになったからといって、環境破壊の呪縛から解放されることはない。
脱炭素に貢献しても、ほかの面ではかえって地球を傷つけてしまう結果にもなりかねないのである。しかも日本だけ見れば、現状では火力発電がメインなのだから、BEVに切り替えても二酸化炭素排出の“出口”が異なるだけになってしまう。
2022年にガソリン車を購入して5年乗っても2027年、そのころには現状では日系メーカーでは出遅れイメージの強いBEVも各メーカーから多彩な車種がラインナップされていることだろう。そして、いまの深刻な新車の納期遅延も少なくとも、いまよりは改善していることだろう。
ただ納期遅延とともに、燃料費高騰というものも消費者を悩ませている。先代モデルではHEVとガソリン車で燃費性能に際立った差のなかったノア&ヴォクシーも、新型になると諸元表上では明らかにHEVのほうが燃費性能は良くなっている。
このあたりは価格差や納期の違い、個々の使用状況などを考慮した総合的判断が必要となるが、非常事態のいまでは“ガソリン車もまだまだ捨てたものではない”と広い視野で新車購入の検討を行うのが、いまの“非常事態”での賢い進め方といえるだろう。
【画像ギャラリー】いま注文したらいつ届く!? ガソリングレードは納期が早いのか!? 人気車種の納期を探る!!(15枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方