2022年はミニバンを中心に注目の新車が発売される予定だ。すでに発売されたノア/ヴォクシーをはじめ、間もなくステップワゴンも発売になる。Zなども注目のスポーツモデルだ。
その一方で注文しても新車が届かない「納期遅延」が大きな問題となって久しいが、依然として収束気配すらない。そんな中、前述したノア/ヴォクシーなどはグレードによっては納期が早まるという。それがハイブリッドを搭載しない「ガソリン」グレードだ。
今回は人気車の「ガソリングレード」に注目して、その納期を探った!
文/小林敦志、写真/ベストカー編集部
■ユーザーと販売現場を悩ませる納期問題
新車の深刻な納期遅延が続いていることは、すでに聞きなれたトピックとなっている。サプライチェーンの世界的混乱に加え、新型コロナウイルスのオミクロン株感染拡大によるものが大きいとされ、そして今後はロシアのウクライナ侵攻も影響してくるともいわれている。
さらには中国での新型コロナウイルスの感染再爆発による上海をはじめとして広範囲にわたる大都市を中心としたロックダウンなどによる中国経済の停滞など、事態は収束するどころか、新たな納期遅延要因が続々発生し、収束するどころか新たな混乱を招くのではないかとの不安の声も大きい。
特にトヨタ系新車ディーラーでは、いまの納期遅延が続くなかラインナップする車種の多くで法規対応の改良を進めており、改良後のモデルへの切り替えを進めている。
しかし、思いどおりに新車の生産が進まないなか、改良前モデルのバックオーダーを、より多く抱えるような(トルツメ)納期遅延が深刻なモデルほど、その改良前モデルのバックオーダーを消化してから改良後モデルの生産へ切り替えるので影響が大きい。
現状ではすでに改良後モデルの新規受注が可能な車種もあるようだが、改良後モデルのデリバリー開始が2022年8月や9月となっているモデルもあるようで、販売現場をより悩ませている。
人気モデルを多く抱え、販売のメインがHEV(ハイブリッド車)となっているトヨタは、半導体の世界的な供給トラブルが続くなか、ハイブリッドユニット用の半導体がより不足傾向となっており、HEVの納期遅延が目立っているようである(少なくとも販売現場ではそう説明していた)。
それでも、「待ってでも乗りたい」という消費者も多いようで、納期遅延が続くなかでも、比較的納期の早い他メーカー車へ流れることなくトヨタ車が選ばれることが続いており、トヨタ車の人気の高さや、トヨタ系ディーラーの販売力の強さを改めて筆者は感じている。
■納期が短めなガソリン車を勧められることも
トヨタ以外のメーカーでも、人気モデルは納期遅延が深刻になっているケースが目立つ。HEVやPHEV(プラグインハイブリッド車)がより納車までに時間がかかる傾向も同じ。
ただし、自社ウエブサイトで工場出荷時期の目途をモデル別に公表しているトヨタやホンダの車種別一覧表を見ていると、ここ最近の傾向として、同じモデルでHEVとガソリン車がある場合でも工場出荷時期の目途がそれほど変わらないケースが目立ってきている。
生産割合や生産調整などが、メーカーや車種によって異なるので一概にはいえないが、HEVの納期遅延がより深刻なので、納期が短めなガソリン車が選ばれる(セールスマンが勧める)ケースも目立ってきているようである。
筆者は2019年に現行カローラセダンとツーリングがデビューする時に、正式発売前に“予約”という形でカローラセダンのガソリン車を購入した。購入したディーラーでの予約第1号でもあったのだが、工場出荷が発注後1カ月半ほど、そして納車が正式発売から10日後ほどと短期間で納車になったことに驚かされた。
担当セールスマンいわく、「受注はHEVに集中しており、ガソリン車を選ばれるお客様がかなり少数だったので納期が早くなったようだ」と説明してくれた。コロナ禍前には一般的には同じモデルでHEVとガソリン車がある場合には、HEVに受注が集中し、ガソリン車より納期が遅れるケースが目立った。
先代ノア&ヴォクシーでは、発売直後はHEVに受注が集中したのだが、先代ではHEVとガソリンとでは燃費にそれほど際立った差がないとのことで、ガソリン車に受注が多く集まるようになり、HEVのほうがダブついて納期が早くなるという事態も発生していたが、これは特殊なケースといってもいいだろう。