超高齢化社会が進む我が国、ニッポン。内閣府の「令和3年版高齢社会白書」によれば、2020年10月現在の日本の人口は1億2571万人で、このうち65歳以上の人口は3619万人になり、高齢化率は28.8%にまで達しているのだという。
厚生労働省によると、この先2025年には65歳以上の高齢化率は30.3%、2055年には39.4%にまで上昇する見込みだとか。国の介護保険制度が2000年4月からスタートして20年以上が経過したワケだが、福祉車両のニーズはますます高まっていくことは想像に難くない。
年老いた親の介護は誰しも避けることのできない切実な問題。そこで、実際に家族のためにトヨタのノア(ウェルキャブ)を購入した自動車評論家、国沢光宏氏に福祉車両の買い方と選び方をレポートしてもらった。
文/国沢光宏、写真/西尾タクト、トヨタ、トビラ写真(ururu@AdobeStock)
【画像ギャラリー】超高齢化社会、ニッポンを生き抜くための福祉車両選び。親の外出機会増加を促すウェルキャブの真髄(12枚)画像ギャラリー電動乗降システム付きの希望者が多い理由
あまり知られていないことながら福祉車両は消費税が非課税となる。実質的に10%引きということ。新型ノアのハイブリッドS-Gは339万円。ウェルキャブ仕様だと税抜きのため342万2000円で、3万2000円しか高くない。
さらにオプションも非課税。新型ノアに安全装備など欲しいオプションを加えていくと50万円近くなる。総支払い額だと福祉車両のほうが安くなってしまう。以下詳しく。
先日、新型ノアのウェルキャブ仕様をオーダーした。理由は簡単。「そろそろ人の手を借りないとクルマに乗り降りできなくなるかもしれませんね」という家族のためでございます。
不思議なもので、多少足腰が弱っても自分でシートに座ることができるうちは、人の手助けを好まないし、ましてウェルキャブ仕様に代表される電動乗降システムなど使いたくないと思うようだ。
けれど、自分で乗り降りできなくなった時、ほかの人に助けてもらうか、それと電動乗降システムを使うかとなったらどうか? 調べてみたら、皆さん人の手助けより電動乗降システムを希望するという。
これも理解できる。人の手を煩わすより、機械のほうがいい。ということで、家族がどちらの介助を希望しても対応できるよう、電動乗降システム付きの福祉車両を選ぶことにした次第。
■福祉車両には3タイプが用意されている
ちなみに『ウェルキャブ』はトヨタの福祉車両のネーミング。日産なら『ライフケアヴィークル』。ホンダだと直球で『福祉車両』となる。
大雑把に分けて次の3つのタイプがあります。1)リアハッチを開けてクルマ椅子ごと乗るタイプ、2)助手席の電動乗降システム付き、3)リアシートの電動乗降システム付き。そのほか、かぎられた車種ながら、1)と3)を組み合わせられる車両も選択可能。
検討したけれど、脳の疾病などで歩けないというケースを除き、徐々に身体能力が衰えていく高齢者でいえば、クルマ椅子のタイプは家庭用というより公共用の意味合いが強いように思う。
家庭用だと最も使用頻度が高いのは家の前から乗り込み、親戚の家や病院までの送迎かと。もっと言えば、クルマ椅子のニーズが出てきたら電動乗降システムを手放して買い換えればいい。
ということで私の場合は電動乗降システムを選んだ。続いて助手席用か後席用を決めなければならない。この点についちゃ迷わなかった。私には高齢の家族がふたりいる。後席用なら車内に入って移動し、もうひとり乗れますから。
2年くらい前から車種選びをしていたところ、決定的なモデルが出てきました。そいつが新型ノアのウェルキャブ。私のニーズをすべて満たしているのだった。
前提として、買うのなら新しいクルマのほうがよい。加えて安全装備もフルスペック欲しいところ。したがって新型車から選ぼうとしていた。車種としてはモデルチェンジするノア、セレナ、ステップワゴン、アルファードといったあたり。そんななか、最初にフルモデルチェンジしたのがノアだった。嬉しいことに試乗会にウェルキャブも展示されており、実車をチェック。