■「中国車って、こんなにふつうに走るようになっていたんだ」
今回、2台の中国産SUVに試乗。まず1台がWEY VV7C。WEYは長城汽車のハイエンドブランド。トヨタに対するレクサスのような位置づけだ。エンジンは2Lターボで234ps/360Nmを発生し、走り始めるとかなり速く、ターボらしいグッとくる加速感。ハンドリングはちょっと重々しいが、長距離高速移動はかなりラクそう。
2台目のSUVは、もともとドイツ車だが破産後の2015年に中国資本のもとに復活したBorgwardで、試乗したのはBX5というモデル。エンジンは1.8Lターボで180ps/280Nmに6速ATの組み合わせ。感心したのは、ハンドリングがとても素直で運転しやすいこと。ただし、このサーキットのようなタイトなコーナリングでは腰の弱さを感じる。
2台のSUVはスペックどおりならともに安全装備も世界水準で遜色なく、ハンドリングの熟成度を除けばかなりの水準にきていると感じた。
日本では販売されていないドイツ車2台にも試乗。中国生産のBMW1シリーズセダンはFFモデル。こちらは中国でしか乗れない。エンジンは2Lターボで、走りはスポーティだが路面の悪さを考慮してか、サスペンションがBMWにしてはソフト。そして、中国らしいメルセデスEクラスのロングにも試乗。後席スペースも広く、走りはやはりどこの国でもメルセデスの優雅さだった。
最後にミニバンのSGMW Baojun730はデザイン的にもふつうで、かなり背高だが、走り始めるとステアリングへの反応もよく、コーナーもきちんとこなした。
すべてに試乗し、中国車ってこんなにふつうに走るようになっていたのだ、と思うことしきり。1年後にまた試乗する機会があれば、さらにどれだけ進歩しているのか。怖いような、楽しいような。
【番外コラム】 カピバラ永田の広州ショー漫遊記
目立っていたのはここ最近の中国車の圧倒的な“良化”
7年ぶりに中国を訪れ、次の2点で中国の自動車業界の急速な変化に驚かされた。
ひとつ目は人気ジャンルの変化だ。7年前はどこの国もクルマの普及はセダンから始まるように中国で見るクルマはモーターショーも含めセダンが中心だった。それが2017年になると世界的な人気もあってSUVが爆発的に増えているのはよくわかるが、アルファードのような大型ミニバンの新型車も増えており、中国は人気ジャンルの変化は非常に早い。
ふたつ目は中国車の劇的な良化だ。10年ほど前は中国車=パクリカーというのが相場だったが、現在モーターショーに出展されるような登場の新しいクルマであればデザイン、インテリアの質感も上々。エンジンはダウンサイジングターボ、ミッションも多段ATやDCTがゴロゴロしており、見るかぎり文句なし。ぜひ乗ってみたくなった。日本では実感しにくいが、中国車の進歩は日本にとってやがて韓国車以上の脅威になりそうな予感がした。
(文・写真:永田恵一)
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