■コンパクトSUV 長安のCS15EVに乗ってみる
広州モーターショーを見学した翌日、WCOTY選考委員のボクはサーキット試乗会に招待された。中国のサーキットは、F1グランプリでも有名な上海サーキットをフェラーリ488チャレンジで走ったことがあるが、広州のコースは初めて。どんなレーシングコースなのかと期待に胸を膨らませたが、2時間以上バスに揺られて到着したそこは、ローカルな田舎のコース。
ま、ある程度は予想してました。ここは中国なんだし(中国の皆さんごめんなさい)。さらに、6台すべてEVというのが渡中前のアナウンス。しかし、EVはこの1台のみでした。これもしかたない。
しかし、この長安CS15EVは大衆車サイズのSUV。いわゆるテスラなどの特別高級的電気自動車ではない。より多くの中国国民が購入するEVなワケで、このEVを中国で、しかも路面の荒れたトリッキーなローカルコースで試乗できるなんてまたとないチャンス。なんといっても中国国民の民意に触れることができるのだから。苦境を吉境に切り替えて気持ちをリフレッシュ。私は浄土真宗本願寺派の僧侶でもあるのだから。
このCS15EVのベースとなるのはガソリン車のCS15だ。その証拠に、リアフェンダー上には給油口がそのまま存在する。もちろん開けることはできず、充電用の給電コネクタは別の場所にある。
CS15EVの3サイズは全長4100×全幅1740×全高1630mm。ホイールベースは2510mmで車体重量は1530kg。いわゆるコンパクトSUVだ。電動モーターは55kW/170Nmの出力なので、それほどパワフルではない。しかし、驚くのはその航続距離で、フル充電でなんんと350km走ることができる。充電池のリチウムイオン電池の容量は42.92kWhと日産リーフ(40kWh)よりわずかに大きい。これを後席下に搭載している。
シートに腰を下ろし、走り出す。テレスコはなくチルト機構のみのステアリングだが、ドライビングポジションは悪くない。アクセルを全開に走り出すと、実にスムーズ。EVだから当たり前だが、言い替えるとパワーがない。
7インチのセンターディスプレイには、EVの走行状況や走行モードの切り替えタグ&ボタンが表示され、スポーツモードにセットしてみる。確かにレスポンスはよくなったが、10%程度のパワーアップフィーリング。だが、ボクが試乗した時にトリップメーターはすでに160km走行を示していて、バッテリー残量は約60%。300kmは走りそう。これはちょっとスゴイ!
しかし、もっと驚くのはABS/EBD/ESPデュアルエアバッグなどの安全装備も充実し、サスペンションの動きが実にスムーズでハンドリングがすこぶるよかったこと。乗り心地、静粛性ともによく、ボディがしっかりしていた。中国車の進歩、恐るべしである。
コメント
コメントの使い方