ディーゼルに逆風が吹き始めている。が、燃費効率や維持費といった、お金の面でのメリットのみならず、低速からの太い加速など、よりよい走りを求めてディーゼルに行き着く人は多い。
だが、国産ディーゼルの選択肢は正直言って狭く、逆に輸入ディーゼルはえらくだだっ広い状況。
これにはそれぞれの国・地域の交通事情が深く関わっているわけだが、その詳細は本文の国沢氏に譲るとして、では国産車、輸入車それぞれでディーゼルターボのランキングを作ったらどうなるのだろうか。
自動車ジャーナリストであり、同時にプロドライバーでもある国沢光宏氏に、国産ディーゼル10選、輸入ディーゼル20選を依頼。
また、国産ディーゼルのトップは、ディーゼルの本場ヨーロッパではどの位置にあるのかについても語ってもらった。
※本稿は2017年12月のものです
文:国沢光宏/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2018年1月10日号
■1.5L〜3.2Lまで10車種からランキング! 国産車ディーゼルターボ編
国産車のディーゼルターボ勢はマツダの1.5Lと2.2Lが計6車種、トヨタが2車種、三菱が2車種と、計10車種が揃う。はたしてどのディーゼルターボエンジン搭載車がいいのか?
■総評
日本車1位はなんといってもアクセラ2.2Lディーゼルターボである。このクルマ、嬉しいことにマニュアル車をラインアップ。
車重1440kgと、2.2L搭載車のなかじゃ最軽量。42.8kgmというガソリン車なら4Lに匹敵するトルクを活かし、スポーティモデルのように走ってくれます。ロードスターよりパワフルで楽しいほど。
もちろんATだって元気一杯! 燃費だって抜群によく、ハイブリッド並みの経済性を持つ。
1.5Lディーゼルは、デミオならなんとか納得できるパフォーマンスというイメージ。1300kgを超えるCX-3あたりになると、登り坂でいかんともしがたい。ストレス溜まります。
SUVディーゼルの4モデルは絶対的な走行性能でいい勝負。そんななか、トヨタのエンジンのほうが基本設計が新しく、低い回転域での騒音&振動で優位にある。
10位としたデリカのディーゼルに乗ると、古き良き懐かしい味が残っていて興味深い。蒸気機関車やプロペラ飛行機好きにすすめておく。
■ディーゼルエンジン単体での評価は?
現時点で日本最高のディーゼルエンジンといえば、マツダの2.2Lであることに異論あるまい。175ps/42.8kgm、リッターあたりの出力は80馬力&トルク19.5kgmとなり、ディーゼル激戦区ヨーロッパだと松竹梅という区分の「竹」に相当するパフォーマンスだ。
参考までに書いておくとBMWやボルボの2Lディーゼルの場合、日本に入ってきているのは190ps/40.8kgmというタイプで、同じ「竹」クラス。その上の「松」クラスになると220ps/45.9kgmを超える。
ここまで読んで「やっぱヨーロッパって凄いのね!」と思うかもしれない。凄いんですよ。
マツダの2.2Lディーゼルをヨーロッパに持っていくと、平均的なスペック。輸入車ディーゼルのランキングを見てわかるとおり、マツダのエンジンを輸入車の中に入れたら20位にも入らないです。
改めて日本がディーゼル後進国だということを認識させられる。マツダを除き、ヨーロッパで真っ向勝負に出た日本のメーカーはないからしかたない?
■マツダの1.5Lディーゼルターボの評価はなぜ低い?
という流れからすれば、マツダの1.5Lディーゼルターボの評価の低さは当然だと思う。なんせ105ps/27.5kgmしかない。リッターあたり70㎰/18.4㎏mですから。こらもうヨーロッパだとコスト重視の「梅」級ディーゼル。
エンジンに共通することながら、出力を抑えたユニットって「薄味」である。マツダの1.5Lも典型的な薄味ディーゼルといっていい。何より105psという絶対的な出力の低さから来るパフォーマンスが物足りない。
■ランクルやパジェロのディーゼルターボはダメなのか?
ランクルやパジェロに搭載されるディーゼルは、乗用車用でなく商用車用。そもそも出力より耐久性やコストを最優先している。
最も新しいハイラックスの2.4Lですら、リッターあたり63ps/17kgmしかない。パワーが出ていないデミオより一段と低いのだった。
加えてパワーユニット自体、重くて大きい。カラカラした燃焼音や低い回転域での振動だって大きい。アイドルストップ付いてないのも決定的な課題といっていい。排ガスの処理は尿素式。
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