■車体のスポット増しやシーム溶接で剛性アップするのなら、なぜ全車でやらないの?
タワーバーやアンダーバー、ロールバーなどボルトオンで装着できるパーツもクルマの剛性を上げるのだが、それ以上に有効とされる手段が「スポット増し」や「シーム溶接」だ。
スポット増しは、ボディパネルなどに打ち込まれているスポットをノーマルから増やしてスポット溶接をすることで、シーム溶接はローラー状の電極で連続的に鋼板などを溶接するもの。しかしこれがボディ剛性向上に大きく寄与するのなら、なぜ国産全車に採用しないのか。
これに対し、国沢光宏氏は「スポット増しやシーム溶接にはそれ相応の手間とコストがかかる。レースカーやそれに近いハイパフォーマンスカーにならまだしも、すべての量販車種に導入すれば無駄になってしまう車種だらけになるからねえ。
フツーに乗るクルマはタイヤもエンジンもフツーでいいワケで、すべては値段とクルマとしての性格のバランスにかかってくるってことだね」
とのこと。
■スバルはなんでミッションでCVTにこだわるの? 多段ATのほうがスポーティな走りに応えてくれるのに!?
スバルが2009年、当時の5代目レガシィに初搭載したのが「リニアトロニックCVT」。以後、現在のレヴォーグやWRX S4など、主力車種のメイントランスミッションとして採用し続けている。
スバルとCVTとは、1987年に他社に先駆けて乗用車用CVTを量産市販化した初代ジャスティECVT以来だが、ここまでスバルがCVTにこだわる理由とはなにか? 国沢光宏氏は次のように指摘する。
「スバルはDCTとかほかのミッションが使えないからね。まだあのCVTを使っておかないと開発費がペイできないし。問題なのはCVTだから、ということじゃなくてスバルがまだ本気でCVTに取り組んでいないことだと思う。
ヴィッツのCVT車が全日本ラリーでトップタイムを出しているように、ギアレシオを自在に操れるのはCVTのいいところで、ネガである重量や熱対策をきっちりとやればスバルなら“楽しいCVT”を作れるはず。要はスバルのやる気の問題だね」
■ホンダシビック販売的には成功なのか!?
賛否両論、物議を醸しながらも2017年9月29日、正式に国内での販売を開始した新型シビック。
「今さらシビックと言われてもなぁ……」とか「全幅1800mmって、もはや一昔前のアコードより大きい」などなど否定的な声があるいっぽう、「乗ってみたら走りのよさは上々」、「セダン265万円、ハッチバック280万円という価格は、仕上がりを考えたらお買い得」との意見もあり、要は「今の時代、ミドルサイズの4ドアセダン&5ドアハッチバックの需要がどの程度あるのか!?」が日本国内におけるシビック存在意義のキモとなっている。クルマとしての出来は間違いなくいいのだから。
で、現況。月間販売目標はタイプRも含めたシリーズ全体で2000台。10月の登録台数は413台で、この数字だけを見たら「おいおいおい……」なんだけど、受注台数は1万台を超えており、受注比率はHB=50%でセダンとタイプRが25%ずつ。
寄居工場(埼玉)製のセダン以外は英国製のため、納期が延びているというのが登録台数が伸びていない要因。今のところ販売的に『失敗』と言えるような数字ではない。
【番外コラム】 渡辺陽一郎が抱く不思議「ホンダが一度やめたクルマを売るワケ」
ここにきてホンダがシビックやCR-Vなど、いったん日本市場ではやめていた車種を再び販売し始めたり、再導入をアナウンスしたりしたことが不思議だ。
これは謎解きのようなもので、ホンダの企業規模を考えれば“選択と集中”でやめたものの、それなりの需要はあるし、現在のブランドイメージの弱さを挽回するためなのだろうと考えられる。
なにしろ、今のホンダは軽やミニバン、コンパクトのメーカーというイメージが強くなってしまったから。
シビックに関して言えば、2010年には先々代型となる8代目で日本での販売を終了していたが、実はホンダもその後、先代9代目を日本で復活させる腹づもりだったらしい。
ところが、翌2011年には東日本大震災が発生し、日本でのシビック復活は流れてしまった。
今回のシビックのプロモーションを見ていると、ホンダは改めてそのやり方が下手くそな会社だと思った。フィットがマイチェンし、N-BOXがFMC(フルモデルチェンジ)を、ステップワゴンにハイブリッド車が追加された同じような時に、なにも投入しなくてもよかったはず。
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