ロシアの侵攻が自動車メーカーへ及ぼす影響は…日産とルノーの関係に変化が…???

■新車価格の値上げは必至/トヨタ・スズキの影響大!?

 もうひとつの重大な影響は、脱ロシアを進める結果のエネルギー高騰が引き起こすコストインフレと新車販売価格のアンバランスの増大です。

 コストインフレは業界収益を大きく圧迫する公算が高まっており、国内販売比率の差異で明暗が分かれそうです。

 筆者の試算では、原材料価格の上昇影響は2021年度推定の1兆3223億円から、2022年度は1兆6319億円に拡大する公算大です。

 昨年度は、原材料影響を新車価格値上げとインセンティブ(販売奨励金)の減少でカバーし、お釣りまで出たのです。それが生産減のなかで利益増のパラドックスを生みました。

 今年度は大幅に値上げしても原材料高騰の影響を吸収できないと思われます。

 特に国内市場はコスト上昇を臨機に小売価格に反映する商慣習が根付いていません。コストインフレと新車価格のアンバランスが大きい国内販売の依存度が高いのはトヨタとスズキの2社です。

 両社の業績は圧迫される懸念が高く、今後の業績開示に注目しています。

 脱ロシアインフレは間違いなく長期的な問題となるでしょう。

 脱炭素を目指した炭素コストが上乗せされます。生産費用の変動と連動する新車価格メカニズムを、国内消費者も受け入れていかなければならない時代が迫っていると考えます。

 クルマそのものの買い方も変化していかざるを得ません。脱ロシア、脱炭素を実現することは国内新車ユーザーに多大な影響が生まれてくることに繋がるのです。

●中西孝樹(なかにしたかき):オレゴン大学卒。1994年より自動車産業調査に従事し、国内外多数の経済誌で人気アナリスト1位を獲得。著書多数

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