■立地条件はガソリン価格に対する影響大!
立地条件もガソリン価格には当然影響を与える。その証拠に東京・青山の青山通り沿いにある出光SSは、都内でも指折りの価格が高いガソリンスタンドだ。
目の前にコーンズ&カンパニー(フェラーリやロールス・ロイス、ランボルギーニの正規ディーラー)があり、周辺にも高級車ディーラーが数多く存在する。ここだけでなく麻布や六本木のガソリンスタンドは全国的に見ても最高レベルの高さだ。
都内の一等地にガソリンスタンドを維持するだけで、それなりのコストがかかってくるが、周辺で給油を利用するのは高級ディーラーか富裕層が大半なので、燃料価格が高くても利便性から納得してくれるし、洗車などで利益も上げられるのだろう。
ちなみに全国で一番燃料価格が安いガソリンスタンドは複数あって、茨城県水戸市、兵庫県姫路市、和歌山県伊都郡、愛知県常滑市に存在する(ガソリン価格比較サイト gogo.gs調べ)。
2022年4月18日の時点でレギュラーガソリンが153円というのは、かなりの安値だ。それぞれに安値の理由は異なるのだろうが、立地条件が影響しているのは間違いない。
セルフ給油かフルサービスか、というのはガソリンスタンドにとってコスト面で大きな差になる要素で、当然セルフ給油のほうが価格が安くなりやすい。しかし実際にはフルサービスのガソリンスタンドでも、周辺のセルフ給油とほとんど変わらない価格を掲げているケースも少なくないのだ。
それはなぜか? 価格差が大きければ、当然安いガソリンスタンドへとユーザーは流れていくことになる。そうなると、フルサービスのガソリンスタンドは売り上げが低迷して困るので結局、価格面でも対抗していく姿勢をとることがあるからだ。
そもそもガソリン自体の利幅はとても小さく、1Lあたりの店舗の利益は5円程度と言われている。それでもやっていけるのは、オイル交換や車検といった、給油を機会に付随したサービスをすることで収益を上げているのだ。
また燃料の利益が薄いことから、一定以上のボリュームの燃料を販売しているガソリンスタンド(1店舗ではなく企業単位で)には、販売奨励金というキックバックがあり、それを利益として燃料を薄利多売しているガソリンスタンドが多い。
そもそも利益が薄い商品なので、とにかくたくさん売ることで売り上げを得て、キックバックで利益を確保するのだ。
そうなってくると1円でも安いところにドライバーは給油に集まり、その周辺にガソリンスタンドも価格のレベルを合わせるように調整しなければ、お客さんを取られ続けてしまう。これが前述の街道筋でも地域によって価格が上下する理由で、一定のエリアごとにそうしたポイントが存在するようになるのだ。
最近は統合が進んで、ガソリンスタンドのブランドも減ったため、街道筋には同じ銘柄のガソリンスタンドがいくつも並んでいるようになってしまったが、実は経営している企業は別の会社で、それぞれがライバルとして凌ぎを削っている。
こうして長い時間をかけて燃料価格の激安地帯(1円の価格差も大きいためにあえてこう書かせてもらおう)は出来上がっていくのである。
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