■SUV+e-POWERが日産のキラーコンテンツとなるのか?
日産は2030年のカーボンニュートラル戦略として、e-POWERとEVを主軸にする戦略を固めているからである。e-POWERはこれまで1.2Lエンジンを発電で使い、これをバッテリーに供給しモーターを回して駆動する方式で対応している。
次世代モデル向けパワーユニットはエンジンの排気量を拡大し、発電量をスケールアップさせてバッテリーやモーターの容量アップで出力やトルクを向上させる手法を取り入れることで、車重のかさむ上級&スポーツバージョンに搭載するために開発を急いでいる。
当面はこの6月にも発表、発売する次期型エクストレイルでは新開発の1.6Lのe-POWERユニットを搭載する見込みである。同ユニットは来年初めに一新する次期型セレナにも移植するはず。
スカイラインクロスオーバーや次期型スカイラインシリーズはどうするか。一段と走りのポテンシャルアップを図る必要があるから、1.8Lないしは2Lに格上げし、アッパーミディアムやラグジュアリー用とする可能性が強い。
スカイラインはエンジン縦置きのFRベースであり、クロスオーバーもこれに沿った駆動系、足回りを活用し、スポーツ色の強いクロスオーバーSUV仕立てとする可能性がある。FFベースではスカイラインクロスオーバーとほぼ同じ時期に日本でモデルを廃止した「ムラーノ」が存在するが、こちらは室内が広くSUVではより使い勝手のよいコンセプトを採用していた。
が、今後はこちらの復活も期待できるかもしれない。スカイラインクロスオーバーと同じパワーユニットを移植するが、多少クラスが下のアッパーミディアムのポジションになるだろう。
■本家スカイラインも迷走の果てに存続すら危ぶまれているが……
現行のスカイラインセダンはどうなっているか。4月下旬現在は全車オーダーストップになり、ディーラー在庫のみの販売となっている。8月にも騒音、排ガス規制強化の法規対応に伴う一部改良を実施するためである。モデルそのものは当面、継続されるがいずれモデル廃止になることが予想される。
次のステップの有力候補がスカイラインクロスオーバーモデルの再登場であるが、モデル廃止時と同じようなコンセプトで企画開発されるとはかぎらない。売れゆき不振で生産中止に追い込まれたのはSUVマーケットが熟成されていなかっただけではない。
モデルの仕立て方や価格設定などに要因があったと指摘する向きが強い。仕立て方は当時のセダンのボディパネルの一部や基本コンポーネントを使い、コストアップを抑えるような設計だったので代わり映えがしなかった。
ひとクラス下のムラーノよりもひと回りサイズが小さかったのに、車両本体価格が40万円も高い設定だった。これではいくら「スカイライン」のブランドパワーが強くても売りさばくのは難しかった、と指摘する日産系販売会社の声は多い。
■「技術の日産」反撃の狼煙の象徴に電動SUVスカイラインクロスオーバー復活は必須!!
そこで次期型では得意の新開発したe-POWERを搭載するのをはじめ最新の安全対策、改良型プロパイロットの装備、サイズアップしたボディサイズ、走りのポテンシャルアップ、リーズナブルな価格設定などで万全を期して再登場するに違いない。
次の証言は首都圏日産プリンス店営業担当者によるものだ。
「スカイラインクロスオーバーが今の時期に再登場すれば売れるようになる可能性が強い。クロスオーバーSUVのマーケットが急速に高まっているからだ。ただ、前モデルのように小ぶりのサイズで高い価格設定では、また失敗する可能性がある。車格に応じたサイズとクォリティアップを図り、上級用にアレンジしたe-POWERユニットやPHEVを搭載すれば、大幅な販売増が見込めるに違いない。対抗モデルはトヨタのハリアーであり、同マーケットはまだまだ拡大の余地が残されているはずである」
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