おちおち安心して乗れない!? なぜトヨタ車が盗難車のターゲットにされやすいのか?

■海外需要が関係している可能性も?

 実は、車上荒らしのトップ10には、プリウス、ハイエース、アルファード、アクア、クラウン、そしてN-BOX、メルセデスベンツと続き、ハリアー、タント、フィット、BMWという具合に、軽と輸入車が狙われている。

 ところが、盗難となると、トヨタ・レクサスが独占というランキングになっているのだ。いったいその理由は何なのか?

 ここからは、あくまでも筆者の経験に基づく仮説である。

 単純発想として言えるのは、盗難車でトヨタ車が多い理由は、盗難車の買い手(需要側)がトヨタ車を望むからだ。

 そうした需要は、主に海外であると考えるのが自然だろう。国内での盗難車売買は、法的な面、または商慣習として成り立ちにくいと思われるからだ。

 海外といっても、その多くの法規制は右側通行&左ハンドル車であるため、普通に考えれば左側通行・右ハンドル車の国がベターであるはずだ。

 盗難車売買で仲介組織を経由するにしても、現地の直接持ち込んで売り払うにしても、そうした考え方を持つだろう。

■全世界で信頼される品質のトヨタブランド

 そうなると、左側通行&右ハンドル車である、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、タイ、ケニアなどの国や地域でトヨタ車の人気が高いのか、という話になってしまう。

 確かに、そうした国や地域ではトヨタ車は新車も中古車も正規販売されており、市場のニーズも高い。

 ただし、そのほかにも経済発展途上国のなかには、右側通行&左ハンドル車の法規制のなかで、日本から輸入された右ハンドル車が当たり前のように走っている風景を、筆者は現地で見たことがある。そうした国でもトヨタの新車は正規販売されている。

 または、右側通行&左ハンドル車の国や地域でも、日本からの盗難車を「ブツ取り用」とすることも当然考えられるし、高級車については右ハンドル車から左ハンドル車への大規模改造を施すケースもあり得るかもしれない。

 いずれにしても、日本での盗難車の主流がトヨタ&レクサスで、それらが海外へ流れている可能性が高いという考え方の裏側には、トヨタの商流網が世界の国や地域をまんべんなく張り巡らさせており、グローバルでユーザーからのトヨタ&レクサスに対する信頼度が高いということになる。

■日本では知られていない海外でのふたつの話

 最後に、盗難車と直接的な関係は別として、日本ではあまり知られていないトヨタ&レクサスの海外事例をふたつ紹介しておく。

 ひとつは、先ほど右ハンドル車の国としても名前が出た、アフリカのケニアだ。同国では、タクシー需要として、カムリやカローラなどの4ドアのトヨタ車に対する需要が高い。「トヨタ車は(いつまでも)壊れない」といった、トヨタ神話があるほどだ。

 こうした需要を見越した日本の大手中古車事業者などが、日本とケニアを直接結ぶ中古車販売ルートを設けるケースもある。走行距離が10万km超でも、ケニア向けでは付加価値の高くつくトヨタ車が日本国内で充分な在庫があるということだろう。

 もうひとつの事例は、東南アジアのカンボジアだ。こちらはトヨタ現地法人を直接取材した際、同社の社長から直接聞いて驚いた話がある。

 なんと、海外から並行輸入された事故車まで、一定の条件のもと、トヨタの正規販売店やトヨタ関連部品を扱う販売店で一般整備を受け付けているというのだ。

 なかでも人気なのは、初代と2代目のレクサスRXで、主にアメリカからの輸入だという。

1998年に登場した初代レクサスRX、日本名ハリアー。北米の販売は好調でレクサスブランドの確立に一役買った
1998年に登場した初代レクサスRX、日本名ハリアー。北米の販売は好調でレクサスブランドの確立に一役買った

 こうしたビジネスモデルについて、将来的にアフリカなどの一部の経済発展途上国で事業展開するうえでの実証試験的な要素もあった。一定条件をつけたうえとはいえ、事故車や並行輸入車でもトヨタ車&レクサス車について、しっかりと整備を行うことが新車製造と新車販売を担う者としての使命であるということだ。

 ただし、当然ながら盗難車については論外だ。盗難車であるかどうかは、しっかりと調べたうえでこうしたビジネスモデルが成り立つことがトヨタの信頼につながるのだと思う。

次ページは : ■あとがき

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