衝突被害軽減ブレーキをはじめ、さまざまな先進安全装備を装着した車両がどんどん発表、発売されている。
その進歩の速さはまさに日進月歩。目を見張るばかりだが、その一方で「自分に扱い切れるのかな」「持て余したりしないかな」と不安を抱えるユーザーも多いのではないか。
「家電なら扱いを間違ってもそうそう大ごとにはならないかもだけど、クルマとなるとまた話は別だよな」という人もいるだろう。「パソコンだってわからないのに」「機能をオンオフできないかしら(永遠に点けるつもりなし)」といった声も聞こえてきそうだ。
そんななか、全国の消費者センターに先進安全装備についての相談が多数寄せられている、という話が飛び込んできた。
※本稿は2018年2月のものです。※グラフは独立行政法人 国民生活センター『先進安全自動車に関する消費者の使用実態』から出典
文:ベストカー編集部/写真:Adobe stock、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2018年3月10日号
■どんな相談が寄せられている?
現在実用化されている先進安全装備には衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる自動ブレーキ)、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、定速走行・車間距離制御装置(アダプティブクルーズコントロール)、車線維持支援装置、駐車支援システムなどがある。
消費者からの相談を受けている独立行政法人国民生活センターによると、この先進安全装備を搭載した自動車について、全国の消費生活センターには昨年11月末までの5年間に142件の相談が寄せられ、このうち119件(83.8%)が衝突被害軽減ブレーキに関する相談だった。
公表できる範囲の相談内容としては、下記のようなものがあったので紹介したい。
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■事例 ①(静岡県、30歳代、男性、2017年9月受付)
衝突被害軽減ブレーキ付新車を購入したが、追突事故を起こした。機能が作動しないことがあるとは知らなかった。
■事例 ②(滋賀県、60歳代、男性、2017年6月受付)
自宅近くの前方に何もないところで衝突被害軽減ブレーキが反応し急停車した。ディーラーで調査してもらったところ、進行方向左手のコンクリート壁横の電柱に対し反応したようだ。
■事例 ③(2016年10月受付、福島県、60歳代、男性)
衝突被害軽減ブレーキが装着された新車を購入したつもりでいたが、付いていないことがわかった。
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この件について国民生活センターに取材したところ、これらは「相談」という形で寄せられているため、「こうしてほしい」という要望もあったとのこと。その内容としては、「欠陥ではないのか?」「賠償してもらえないか?」や、「クルマを交換してもらうことはできないか?」というものがあったという。
衝突被害軽減ブレーキが装備されていなかったという相談に関しては、購入時のディーラーマンとのやりとりのなかで気づけなかったのか!? と驚く読者も多いだろう。
各メーカーで標準装備化が進んでいる現在だが、オプションの車種はいまだにある。新車と中古車の購入者で、少なからずある相談のようだ。
■2000人中 約2割が「想定外」のできごとを経験
そんななか、同センターが、自動ブレーキ搭載のマイカーなどの利用者2000人(19~79歳までの男女)を対象にアンケート調査を実施した。
運転中に突然装置が働くなどの「想定外の出来事」を体験したと答えた人が491人、全体の24.5%を占め、うち122人は、ほかのクルマや構造物にぶつかる物損事故を起こしていたという。全体の約2割、4人に1人が「想定外」を経験したという驚きのデータだったのだ。
具体的な回答例としては、「急に加速した」が93件と最も多く、「急に減速した」が87件のほか、「衝突被害軽減ブレーキが予期せず作動した」が71件など速度制御に関する「想定外」が多かった。
■想定外の出来事の内訳(母数=491/複数回答あり)
●急に加速した(93) ●急に減速した(87) ●衝突被害軽減ブレーキが予期せず作動した(71) ●急に停止した(51) ●減速しなかった(50) ●加速しなかった(44) ●他車や構造物等に接触しそうになった(37) ●車両を制御できなかった(28) ●警報が鳴らなかった(27) ●車線を逸脱した(24) ●衝突被害軽減ブレーキが効かなかった(21) ●車両のふらつきが大きかった(21) ●発進しなかった(18) ●駐車できなかった(16) ●その他(32)
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