パワートレインのスペックは共通
両者のパワートレインのスペックに違いはない。バッテリー容量は20kWhで、航続距離は最大180km(WLTC走行モード)。最高速度は130km/h。駆動用モーターは最高出力47kW(64ps)、最大トルク195Nm。一般的な軽のターボエンジンと比べて最大トルクが約2倍にもなる。
どちらにも試乗させていただいたが、通常の軽ガソリン車で感じるもっさり感が一切ない。軽い車体とパワフルなモーターの相性は、このうえなくマッチしており、軽のネガティブ要素がすべて解消されているといってよい。
モーターの初動トルクが強いので、これまでの軽が苦手だった登坂走行や信号停止からの発進は、本当に楽になるだろう。また、モーターの制振性能も高いため、走行中は実に静かで、滑らかな走りも実現している。これまで遅れていた軽自動車の電動化だが、BEV化こそが「軽のフィイナルアンサー」だと筆者は感じた。
なお、普通充電(AC200V/14.5A)と急速充電の2つのポートを備えており、普通充電の場合は8時間で残量警告~100%となり、急速充電の場合は約40分で警告灯点灯~80%まで充電が可能。
また、蓄えた電力は、V2L(電気を取り出す仕組み)でキャンプなどでの電源として、V2H(住宅へ給電する仕組み)で停電時の補助電源としてなどにも対応するという。嬉しいことに、エアコン冷媒を用いたバッテリー冷却システムも備わるので、バッテリーが温まった走行直後の継ぎ足し充電でも、充電量低下を抑制できる。
サクラ/eKクロスEVならばBEVもアリ!! 上位グレードはサクラのほうが割安!?
車両価格だが、サクラは上級仕様「G」が294万300円、スタンダード「X」は239万9100円だ。GにはプロパイロットやSOSコール、アラウンドビューモニター、日産コネクト9インチナビ、アダプティブLEDヘッドランプなどの上級アイテムが標準装備となる(プロパイロットパーキングはメーカーオプション)が、近くの買い物や通勤などで利用するのであれば、スタンダードでも充分だ(筆者が買うならば、長距離移動に向いたワゴンが既にあるので、スタンダードを選ぶだろう)。
おすすめのオプションは、ディーラーオプションの「サクラセレクションパッケージ(8万8399円)」。フロントの日産ロゴの上にサクラのロゴと花びらのアクセントや、シーケンシャルドアミラーウィンカー、キッキングプレート(車名ロゴ付)、フットウェルランプ(フロント席用:運転席&助手席)なども含まれる。サクラを一層オシャレに決めるアイテムとしてはコスパも高い。
いっぽうのeKクロスEVは、上級仕様「P」が293万2600円、スタンダード「G」は239万8000円。サクラと同じく、上級「P」には、上級アイテムが標準装備となるが、「P」であっても、プロパイロットの三菱版、マイパイロットはメーカーオプション扱いとなる(マルチアラウンドモニターなどを含めた16万5000円のセットパッケージ)。
「アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストなどの先進運転支援は不要」というのであれば、サクラとeKクロスEVの車両価格はほぼ同等なので、デザインで選んでよいと思う。だが、上位グレード同士をよくよく比べてみると、サクラの方が割安だ。上位グレードとなると、おそらく既に300万円を超えの見積もり金額となっているはずなので、軽BEVにいずこまで出せるのかはよく考えたほうがいいだろう。
2022年の政府補助金額はどちらも55万円。自治体によってはさらに補助金が加わる。最大の補助金を用意しているのは東京都で45万円(※再エネ電力設備導入だと60万円)だ。神奈川県は上限20万円と発表していたが、申し込み多数のため、6月1日時点で受付終了となってしまっている。追加予算が用意されるかは現時点不明だが、国と自治体の補助金は、「早い者勝ち」だということは知っておきたい。
軽のBEVに関しては今後、スズキやダイハツ、そしてホンダといった他の軽メーカーも追従してくることが予想される。駆動用バッテリーを低い位置にレイアウトすることよる低重心化は、背高軽ワゴンのデメリットを打ち消すことができるため。大人気ジャンルの軽スーパーハイトワゴンでも、BEVが登場するだろう。
しかし、新世代の軽BEVの第一人者として、このサクラ/eKクロスEVが大活躍してくれることは間違いない。航続距離の長い高額なBEVはおすすめできないが、サクラ/eKクロスEVならばアリだと思う。2022年度は国産BEVが大豊作の年であり、補助金は年度末には枯渇することも予想される。欲しい方は今がチャンスだ。
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