教習所の「厳しさ」に違いあり? 元指導員が明かす噂の真相と実態

教習所の「厳しさ」に違いあり? 元指導員が明かす噂の真相と実態

 運転免許を取得するときに多くの人が通う教習所には、数々のウワサがあります。そのなかのひとつに、「この教習所は厳しいらしい」や「あの教習所は優しいらしい」という教習所の評判にまつわるウワサを聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

 今回は、指定自動車教習所で指導員をしていた筆者が教習所にまつわるウワサが本当か考察します。

文/齊藤優太
アイキャッチ写真/mapo– stock.adobe.com
写真/写真AC、Adobe Stock

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教習所ごとに厳しい・優しいがあるというウワサは・・・

指導員と教習生の相性の不一致によってネガティブな口コミが広がり、厳しい教習所という評判が広がってしまうことがある(出典:写真AC)
指導員と教習生の相性の不一致によってネガティブな口コミが広がり、厳しい教習所という評判が広がってしまうことがある(出典:写真AC)

 教習所ごとに厳しい所や優しい所があるというウワサは、本当だといえるでしょう。

 本来であれば、道路交通法第98条に「自動車教習所において行う自動車の運転に関する教習の水準の維持向上に努めなければならない(一部抜粋)」と定められているように、どの教習所であっても同一の指導水準でなければなりません。つまり、教習所ごとに厳しかったり優しかったりすることがあってはならないのです。

 しかし、教習所の評判に直結する指導員は、喜怒哀楽がある「人」です。皆さんと同じように、好き嫌い、性格や相性が合う・合わないなど、さまざまな感情があります。

 筆者が実際に教習をしていたときは、最初に当たり障りのない振る舞いで指導をはじめ、その後、教習生の性格に合わせた言葉や指導方法を選びながら教習をしていました。

 しかし、指導員がどれほど気を遣って教習をしていても、教習生と性格や相性が合わないことがあります。この性格や相性の不一致がSNSや口コミなどで広がり、厳しい教習所・優しい教習所といったウワサにつながっているといえるでしょう。

●厳しい教習所や優しい教習所のウワサはどのようにして拡散されるのか?

 厳しい教習所や優しい教習所の評判は、一般的なウワサと同じように、SNSや口コミなどで広がっているといえます。一般的に、良い話は広がりにくいです。しかし、悪い話はあっという間に広がります。

 教習所だけでなく、学校や学習塾などでも、褒められたり優しくされたりしたという話は広がりにくいです。しかし、怒られたり厳しくされたりすると、瞬く間に悪い評判が拡散します。教習所にまつわるウワサも、このような一般的な評判の広がり方と同じように拡散されているといえるでしょう。

 そのため、厳しい教習所・優しい教習所があるというウワサを聞くことがあるのです。

元指導員が実際に教習生から受けた評価

教習所での指導では、指導員と教習生の性格や相性よって良い評価を受けることもあれば、悪い評価となることもある(出典:写真AC)
教習所での指導では、指導員と教習生の性格や相性よって良い評価を受けることもあれば、悪い評価となることもある(出典:写真AC)

 筆者が教習所で実際に指導していたときは、良い評価と悪い評価の両方を受けました。

 良い評価は、「丁寧に分かりやすく教えてもらえてよかった」や「親切に指導していただき、助かりました」、「○○先生がいいって聞いたので、この教習所に来ました」などです。いっぽう、悪い評価は「理解しにくい」や「○○先生が分かりにくくて、××先生の方がわかりやすかった」などがありました。

 年齢や性別を問わず良い評価や悪い評価を受けてきた筆者が最も嬉しかったのは、「厳しく指導されることもありましたが、理由もしっかり説明してくれたので納得できた」や、教習所を卒業したあとに「最近運転するようになって、教習中に言われたことがわかるようになってきた」と言われたときです。

 このようなことを言われると、指導員として安全運転者の育成に貢献することができたと感じていました。

指導員と教習生のギャップや免許取得後まで考えた指導が悪いウワサになることも・・・

 多くの教習所・指導員は、最短時限で卒業してもらいたいと考えています。同じように、教習生は短い時間で卒業したいと考えていることがほとんどです。最短で卒業したいという目標だけは、指導員と教習生の意見が一致します。

 そのため、指導員は運転に関する知識や技術を限られた時間のなかで教習生に理解してもらえるように教習しなければなりません。しかし、教習生は、法律や初めて操る乗り物の運転操作を理解しきれないまま教習の過程が進んでしまい、卒業を迎えてしまうことがあります。

 最短で卒業するという目標は同じでも、指導員と教習生の間で教習の習熟度にギャップが生じてしまい、教習生から「わかりにくい」や「○○先生はよくなかった」と指導員の評価がされ、教習所の悪いウワサに発展してしまうケースもあるでしょう。

 また、指導員が免許を取得したあとのことまで考えて教習した結果、教習生が免許取得後に運転しているイメージができず、「わかりにくい」や「厳しいことを言われた」と評判になることもあります。

 筆者は、免許取得後のことまで考えて教習していました。ただ、「今すぐに教えてもらったことを理解しなくても大丈夫です。教習所を卒業して運転するようになるとわかることなので、とにかく忘れないようにしておいてください」と教習内容が免許取得後にいきるということを伝え、ギャップがないようにしていました。

【まとめ】教習所ごとに厳しい・優しいがあるというのはあくまでもウワサ

 教習所が厳しいと感じたり、優しく親切だと思ったりするのは、指導員と教習生の性格や相性が合う・合わないなど、人の感情によるものが大きいといえるでしょう。

 道路交通法に定められているように、教習所の指導水準は同一です。しかし、指導員の言葉遣いや指導方法、指導員と教習生の相性などによって、良い評価と悪い評価の両方が広がり、厳しい教習所・優しい教習所があるというウワサに発展していると考えられます。

 そのため、厳しい教習所と優しい教習所があるというのは、本当だといえますが、あくまでも個別指導の感想が教習所の印象となり、ウワサとして広がっているといえるでしょう。

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