「東京モーターショー」の名が消える!!? 自工会に直撃!! 豊田章男会長が打ちだした変革の狙いとは

■モーターショーを主催する自工会を直撃!

 数々の疑問を日本自動車工業会(以下自工会)に直接、質問してみた。まずは「JAPANオールインダストリーショー」という名称への変更の実現性はどれくらいなのか。正式に名称が決定されるのはいつ頃になるのか。

「2021年6月の記者会見で日本の全産業がまとまる「オールインダストリーショー」を目指すことが発表されており、そのことを踏まえて先般5月の記者会見にて、会長の考えとして名称変更についてお話をされました。

 これをもとに、ショーの骨子やコンセプト、開催概要と合わせて自工会モーターショー委員会で今後議論・検討を始めるところです」(自工会広報部)

 2021年の記者会見では名称の変更まで言及していなかったから、それほど注目を浴びなかったのだろう。急に方針を変えたわけでもなければ、単なる思い付きでもなかった。豊田会長は、より変革を分かりやすくアピールするために改称する考えを明らかにしたのだ。確かに、これはインパクトがあった。

 ただ、これからモーターショー委員会で議論して決めていくとのことだから、正式に名称が決定するのはまだ先のことで、具体的な決定時期への回答は得られなかった。ところで改称提案への反響はあったのだろうか。

「5月の会見直後から、多くの方から同様のお問い合わせいただいており、ご関心の高さを改めて認識しております」

 やはり相当なインパクトがあったようだ。それだけで次回の東京モーターショーに対する関心度が高まったのだから、先日の記者会見での発表は大成功だったと言える。

 そのいっぽうで、名称だけでなく開催内容についても気になる。自動車業界以外の産業の参加について、具体的にはどのような産業を対象にし、対象外とする産業は想定しているのだろうか。

「こちらについても、ショーの骨子やコンセプト、開催概要と合わせてモーターショー委員会で今後議論・検討を始めるところです」

「全産業」と銘打っても、クルマとはまったく関連性のない産業を含めてしまうとイベントとしての統一感、コンセプトやテーマが感じられなくなって、ただの大規模な催しになってしまう恐れもある。このあたりはしっかりと内容を固めて開催してほしい。

■海外からの参加は見込めなくなる?

 もっともクルマには工業技術のあらゆる分野が導入されている上に、たとえ農業であっても電子制御が導入され、AIの利用も研究されているのだから、技術面の展示であれば第一次産業でも違和感のない展示が可能になるかもしれない。

 ただそうなると、海外の自動車メーカーはより参加しにくい環境になってしまわないだろうか。自工会としては海外の自動車メーカーの参加はもう見込んでいないのだろうか。つまり、「国際的なモーターショーとしての役割」は終えるということなのか。

「これまでも、これからも海外の自動車メーカーの皆様には、ぜひ参加いただきたいと考えております。また、引き続き国内のみならず海外へ向けても発信をしていくショーを目指してまいります。なお、東京モーターショーは、国際モーターショーとして国際自動車工業連合会(OICA)に認定されているショーです」

 自工会からの回答は上のとおりで、現時点では予想どおりではあった。自工会の姿勢と海外の自動車メーカーの思惑はまったく関係がないから、JAPANオールインダストリーショーという名称にしたことで、さらに敬遠されてしまう可能性はあることは意識しておくべきだろう。

2019年はメガウェブ(現在は閉館)なども会場として活用された
2019年はメガウェブ(現在は閉館)なども会場として活用された

 もっともそんな新名称に対して、自国の技術をアピールする場として新興国の自動車メーカーが参加する姿勢を見せるかもしれない。

 それはそれで歓迎したいが、来場者が見たいのは日本はもちろん、欧州や米国の先進的な近未来のクルマやその技術であり、これから日本参入を狙う新興国のクルマや技術が見たいかと問われれば微妙なところではないか。

 行って、見て、予想以上の賑やかさや楽しさを感じることもあるだろうが、そもそも期待しなければ来場してくれない人も増えてしまうだろう。

 日本自動車工業会の会長職を2024年5月まで、3期6年も続投することになった豊田章男会長は、日本の自動車産業に従事する550万人の生活を守る重責を感じていることは、これまでの発言の端端から伝わっている。

 それ故の東京モーターショー大変革案なのだろうし、これから開幕までの約1年半、議論や熟考を重ねて素晴らしいショーにしてくれるはずだ。

 筆者個人としては規模感は前回よりもあまり広げないで(すべて見て回るのは大変!)、クルマやモビリティの魅力の広がりを感じさせる、内容が濃いショーに仕立ててもらいたいと願うばかりだ。

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