今やスポーツモデルでも設定車が激減!「リアスポがカッコいい」という価値観はもう古いのか?


 最近はスポーツモデルといってもかつてのようなリアスポイラーやウイングなどエアロパーツを純正で装備しているクルマが少なくなっている。GRスープラ、GR86/BRZは言うまでもなく、新型フェアレディZですら小ぶりなトランクスポイラーがオプション設定に、WRX S4も現行型からリアウイングはメーカーオプション設定すら消滅となってしまっているのだ。

 かつてのランエボにインプレッサWRX STI、シビックタイプRはデカい純正のリアウイング装着がマストアイテムだったが、なぜ大型エアロパーツの装着が下火になってしまったのだろうか。トランク後端をダックテール形状にしているトレンドなどを含め、現行型リーフや先代WRX S4に大型ウイングをつけて走っている国沢光宏氏の持論を語ってもらった。

文/国沢光宏

写真/トヨタ、日産、ホンダ、スバル、マツダ、三菱、ベストカーWeb編集部、ベストカー編集部

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■スポーツモデル必須のアイテムだったリアスポだが……

かつての80スープラにも3LターボモデルのRZには標準で大型リアスポイラーが装着されていた。上のNAモデルであるSZではオプション設定だった

 ひと昔前まではスポーツモデルといえば大型リアウイング&スポイラーが必須のアイテムだった。黄金時代のWRX STIやランエボ、80スープラを見ると大型のリアウイングを標準装備。初代NSXなどはリアウイングをボディの一部にしていたほど。

 なのに、今や絶滅危惧種になりつつある。WRX S4はオプション設定すらなし。新型フェアレディも「超」小型のスポイラーだ。

 参考までにウイングとスポイラーの違いを紹介しておく。

 ウイングは車体から離れた位置に取り付ける空力付加物で、文字どおり飛行機の羽根を上下逆に取り付けたような形状をしている。ウイング単体で下向きに力(ダウンフォース)を出せるうえ、車体から離れた空気の流れのよい場所に取り付けられるため効果大きい。現代の競技車両は基本的にウイングを使う。

 スポイラーは車体後方に直接取り付ける。空力付加物。車体の上面を通ってきた空気を上向き飛ばし、下向きのダウンフォースを発生させる。ウイングと比べて空気抵抗が大きく、効能もイマイチ。

 航空機だと主翼の上面に飛び出す補助翼をスポイラーと言うが、「エアブレーキ」として使うこともあるほど。ダウンフォースと同時に空気抵抗を増やしてしまうため、競技車両では使われなくなった。

■リアスポが消えつつある理由

現行型WRX S4には先代型まであったウイングタイプの大型リアスポの設定はなく、ディーラーオプションで小ぶりなトランクスポイラーが設定されているだけだ

 なぜ市販車からリアウイング&スポイラーが消えようとしているのか? まず、必要性から考えてみたい。

 原点となっているのはレース。F1でいえば1968年からリアウイングを採用するようになり、1970年代に入ると空気のチカラで車体を下に押しつければ(黎明期は浮かないようにする程度の効能だった)コーナリング速度が高くなるという知見を持つ。以後、リアウイングは急速に普及していく。

 レーシングカーで使われているアイテムは当然のことながら市販車にも採用される。すでにハコスカと呼ばれるスカイラインGT-Rを見ると小型のリアウイングを装備。それをマネした暴走族が「進化」させた結果、そそり立つような形状を持つリアウイングも登場。当然の流れで違法改造ということになってしまい、姿を消す。1978年発表の初代サバンナRX-7の日本仕様はリアウイングなし!

 1981年発売の初代ソアラなど見ると、トランクの後端をボディ形状で持ち上げている。デザイン的にはテールがピンと立ち上がっているとカッコいい。我が国で目立つ後付けスポイラーが復活するのは1984年のこと(1983年式登場のポルシェ944はスポイラーを認可せず。1984年式からOKになる)。以後、リアウイングや車体に直接取り付けられるスポイラーが人気に。

 その後もしばらくはスポイラーが主役になるのだけれど、1980年代後半になるや性能的に優れており、デザイン的に洗練されたウイングを使うようになる。前述のR32 スカイラインGT-Rや初代NSX、80スープラなどなど。WRXやランエボが登場し、WRCで活躍するようになると、イッキに普及する。当時のWRC、グループAというカテゴリーだったため、競技車両と市販車の外観は同じ。

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