■リアスポが消えつつある理由
なぜ市販車からリアウイング&スポイラーが消えようとしているのか? まず、必要性から考えてみたい。
原点となっているのはレース。F1でいえば1968年からリアウイングを採用するようになり、1970年代に入ると空気のチカラで車体を下に押しつければ(黎明期は浮かないようにする程度の効能だった)コーナリング速度が高くなるという知見を持つ。以後、リアウイングは急速に普及していく。
レーシングカーで使われているアイテムは当然のことながら市販車にも採用される。すでにハコスカと呼ばれるスカイラインGT-Rを見ると小型のリアウイングを装備。それをマネした暴走族が「進化」させた結果、そそり立つような形状を持つリアウイングも登場。当然の流れで違法改造ということになってしまい、姿を消す。1978年発表の初代サバンナRX-7の日本仕様はリアウイングなし!
1981年発売の初代ソアラなど見ると、トランクの後端をボディ形状で持ち上げている。デザイン的にはテールがピンと立ち上がっているとカッコいい。我が国で目立つ後付けスポイラーが復活するのは1984年のこと(1983年式登場のポルシェ944はスポイラーを認可せず。1984年式からOKになる)。以後、リアウイングや車体に直接取り付けられるスポイラーが人気に。
その後もしばらくはスポイラーが主役になるのだけれど、1980年代後半になるや性能的に優れており、デザイン的に洗練されたウイングを使うようになる。前述のR32 スカイラインGT-Rや初代NSX、80スープラなどなど。WRXやランエボが登場し、WRCで活躍するようになると、イッキに普及する。当時のWRC、グループAというカテゴリーだったため、競技車両と市販車の外観は同じ。
■クルマの空力アップにどれだけの効果がある?
ここで問題になるのが「果たしてウイングやスポイラーはダウンフォースを発生し、クルマの性能を向上させられるか?」ということになる。
結論から書くと、「普通の速度域だとあまり意味なし」。車検対応可能となる最大級のウイングであっても効果出てくるのは120km/hを超えたあたりから。筑波サーキットの最終コーナーで何とか効能がわかるかどうか、というイメージ。
今やサーキット以外じゃ激走できなくなった我が国だとドレスアップパーツのひとつになったと思う。いや、ドリフトのファンからすれば、ウイングなしのほうがカッコいいかもしれません。ドリフト、高速域でのダウンフォースなど不要。横向いてる状態だと効かないし(笑)、むしろテールをギリギリまで外に降った時、ウイングなんかジャマモノになってしまう。
そんなこんなで必要以上に大きいウイングやスポイラーは消え去りつつある。しかし! 私世代のクルマ好きだと、ウイングなしのスポーツモデルなど100%あり得ない! クルマ買ったら大型リアウイングを付けるのみ! GRヤリスや新型フェアレディZを買おうと思っている。GRヤリスにはWRC形状の、フェアレディZにはフルサイズのGTウイングを付けることを宣言しておく。
また、bZ4XやARIYAに代表される電気自動車は、空気抵抗を減らすためボディ後端にスポイラー形状の空力付加物を付けている。開発担当者に聞くと、「相当効きます」。
今後はダウンフォースじゃなく、空気抵抗を減らすためのスポイラーなどが残るかもしれない。残念ながら大型化すると(どうしてもソチラに行く)、空気の流れのバランスが崩れてしまい航続距離まで減るそうな。
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