■走りはXC40とCX-5の元気のよさが印象的
(TEXT/鈴木直也)
走りに関しては、XC40の印象が強烈だった。今回の試乗車はT5 R-Designだったから、2Lターボは252ps/35.7kgmというスペック。1.7トンオーバーの車重をまったく意識することなく、いつでも右足ひとつで余裕の追い越し加速が可能で、そのドライバビリティの頼もしさはトルクで定評あるCX-5ディーゼルに迫る。
また、XC40はエンジンだけでなくシャシーの出来も予想以上だった。
全高1660mm、最低地上高210mmと決して重心が低いわけではないが、体感ロールは驚くほど少なく鼻歌まじりで軽快にワインディングを駆け抜けてゆける。以前のボルボを知る人なら「でもR-Designだから乗り心地が硬いんでしょ?」と突っ込むところだが、XC40は乗り心地の質も上々。新しいCMAプラットフォームの出来のよさはタダモノではない。
走りの元気さでこのXC40に対抗しようとすると、やっぱりCX-5 XDを持ってくる必要がある。190ps/45.9kgmのトルクフルなディーゼルは、一瞬のパンチ力ではこのジャンル最強。特に高速道路で5速や6速に入っている時のグーッと息の長い加速感に醍醐味がある。
ただし、箱根のようなワインディングではフロントの重さを感じさせるハンドリングで、軽快さでは今回の4車中では最後尾。そちらを重視するなら、気筒休止の追加などエンジン改良を施されたガソリンモデルのほうがお薦めだ。
走りのよさでは「駆け抜ける喜び」を謳うBMW X1にも期待したいところだが、今回持ってきたs Drive18iには正直あまり見るべき点がなかった。
いまや3気筒1.5Lターボとなったエンジンは、140ps/22.4kgmと過不足ないスペックではあるが、BMWというブランドに期待するような官能性能は備えていない。特に、アイドルから低速域にかけての振動と、ごく低速域でのトルク不足はちょっと興ざめ。“ブランド物”を買った満足感に欠ける。
また、燃費向上のために採用されたゲトラグ製7速DCTもダイレクトで歯切れのいいシフトフィールは好ましいが、スムーズさでは明らかな後退。発進停止を繰り返す渋滞では、以前のアイシン製6速ATよりストレスが多い。
C-HRは今回ハイブリッドモデルを持ってきたのだが、普通に走っていると「狭いプリウス」という感じでちっとも面白くないのには困った。
もちろん、燃費性能は4車中ダントツだし、ワインディングをガンガン攻めてもへこたれないシャシー性能にも文句はないのだが、「なぜプリウスではなくC-HRを買うのか?」という動機づけがデザイン以外で希薄なのだ。
XC40並みとまでは言わないにしても、もうちょっとピリッとしたエンジンとCVTではないミッションが選べたら、C-HRの魅力はさらに高まると思うのだが……。
■[計測テスト1] 実燃費、静粛性がいいのは?
(TEXT/大音安弘)
●実燃費チェック
実燃費テストは、首都高を中心に40kmほどを走行してみた。通勤時間のため、道路は混雑気味。ストップ&ゴーの多い市街地走行よりも多少燃費に有利といったところだ。
他車の約2倍となる圧倒的な数値を叩き出したのは、C-HR。日常使いでのハイブリッドの強さを見せた。次いで優秀だったのが、クリーンディーゼルターボのCX-5。加減速の多い状況では低回転でのディーゼルによるトルクの厚さが大きな武器となる。
次いでX1、XC40の順となるが、同じガソリンターボでも両者の条件は少し異なる。X1が1.5L直3ターボのFFに対して、XC40は2L直4ターボの4WDだからだ。またX1がカタログ値と1.7km/L差があったのに対して、XC40は、ほぼ同等である点も見逃せないだろう。
●静粛性チェック
静粛性テストは、時速60㎞で走行中の車内で騒音計により測定したもの。
結果は、X1を除き、見事、横並びに……。時速60kmの巡航時では、エンジン音がかなり抑えられるので、パワートレインの差が反映されない形となった。近年のコンパクトSUVでは静粛性も重視しており、全般的に車内は静かといえる。
ただ結果同様に、やはりX1は走行中の風切り音やロードノイズが大きく感じた。4台のなかでも静粛性については一歩劣る。また3気筒エンジン特有のサウンドも気になるところだ。
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