バブル期の国産名車なれども暴騰せず… その理由とは!? アルシオーネSVXの魅力と知られざる真実

■スバリストたちの評価はどうなっているのか?

 で、走りはどうだったのかというと、全体にモッサリしていて刺激が少なかった。SVXのコンセプトは、スポーツカーではなくGT。当初から「長距離を安全かつ快適に走る」というのが狙いだったから、順当ではあったけれど、ボクサー6は燃費が悪くて、高速巡行でも7km/Lには届かず、あまり遠くに行く気にもなれなかった。

 ということで、「スバルを買うならレガシィのほうがよかったな」というのが結論になった。当時のレガシィのターボエンジンは、ガンガン回って痛快。それに比べてSVXのボクサー6はもっさりしているだけで、特段のエレガンスがあるわけでもなし。所有してみて改めて、「SVXの魅力はデザインに尽きる!」と実感した。

空力特性にこだわり、ロー&ウェッジシェイプのフォルムを獲得。フラッシュサーフェス化を徹底した
空力特性にこだわり、ロー&ウェッジシェイプのフォルムを獲得。フラッシュサーフェス化を徹底した

 やっぱりそれが、中古車人気が盛り上がらない理由だろうか。スバリストの間でも、SVXの評価は低いのだろうか? 日本を代表するスバリストであるマリオ高野に聞いてみた。

マリオ高野「SVXはスバリストの間でも伝説的な存在であり、崇拝の対象であります! ただ、ミッションは4速ATのみ。MTがないことが最大の弱点でして、本格的なスポーツモデルではないということで、SVXが欲しい! という話は、スバリストの間ではあまり聞きません」

 つまり「崇拝すれども購入せず」ということか。

マリオ高野「そのとおりであります。SVXのボクサー6は、4気筒に2気筒を付け加えた形でして、スバリストの評価としては、3代目レガシィ・ランカスター6で登場したボクサー6よりも下になります」

 あまりにもエンジンがモッサリしていたので、私はROMチューンをやってみたが、ほとんど効果を体感できなかった。自然吸気なので仕方ないが。

マリオ高野「SVXの相場があまり高騰しない最大の理由は、海外で人気が高まっていないことにあると思われます。SVXはマンガ『頭文字D』にも映画『ワイルドスピード』にも登場しておりませんので」

 なるほど、そういうことか。確かにあのクルマは、何をどうやっても『頭文字D』や『ワイルドスピード』に登場する要素はない。高く評価されている流麗なデザインも、サイドウィンドウを除けばそれほど強い個性はなく、結果的にサイドウィンドウにばかり目が行くことになる。

 しかし、SVXのデザインにあこがれを抱いているならば、相場が安いのはもっけの幸い。今のうちに買っておくべきだろう。ジウジアーロデザインのいすゞ 117クーペやピアッツァよりは新しいぶん安心だし、タマ数も多い。SVXだって、いつ暴騰するかわかったものではない。

【画像ギャラリー】名車・アルシオーネSVXのスタイリングを写真で見る!(5枚)画像ギャラリー

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