走りにも 安全性にも カッコよさにも直結!!! 「プラットフォーム」解体新書

■共通プラットフォームで「大」も「小」も作れるのはナゼ?

狭義のプラットフォームは、
フロアパンや足回り部品の共用化からスタートして、最近ではペダルから前輪までのフロントエンドモジュールの統一などがテーマだが、最近はその上をゆく新しい概念が登場してきている。

マツダやトヨタがトライしている“コモン・アーキテクチャ”は、パーツではなく設計手法を共通化しましょうという考え方。

コモン・アーキテクチャは、マツダが編み出した、車格やセグメントを超えて共有された「全車種を縦軸で統一する」という設計思想に基づき、多様な車両を開発する車両開発コンセプト。設計思想は、エンジン、変速機、ボディ構造、シャシーなどの大きな領域で設定されるが、さらに細かい部品単位でも設定される。トヨタの「TNGA」のお手本とされている

例えば、前輪からペダル付近までのフロント部分をいじりたくないのは、ここを変えると衝突シミュレーションから何から、すべて新たに開発し直しになるから。要するに「変えると面倒な部分は変えない」という考え方だ。

対して、コモン・アーキテクチャは「どういう開発過程を経てフロントモジュールの設計が決まったのか」に着目する。もし、設計手法が標準化できてそれがスケーラブルなら、でき上がったモノにこだわる必要はない。共通プラットフォーム概念はコンピュータのなかだけに存在すればいいからだ。

この手法は、シャシープラットフォームだけではなく、エンジンやミッションなどすべての機械部品に応用できる。

従来は、燃焼室の設計が最も重要だったから、排気量違いの派生型はストロークを変えて生産していた。対して、コモン・アーキテクチャならそういう制約なしにベストなボア・ストローク比で排気量違いのエンジンを設計できる。

こういう設計手法には、いうまでもなく強力なCAE(コンピュータ支援エンジニアリング)ツールが必要で、最近話題の“モデルベース開発”***が大活躍している分野でもある。

CAE……コンピュータ上で擬似的に再現した製品の設計問題を評価(シミュレーション)することができる。近年CAE解析は機械設計を行ううえで欠かせない技術となっている

広義のプラットフォーム競争は、開発のコンピュータ化を制した者が勝つ。どうやら、そんな競争が見えないところで激しく行われているみたいですね。

*高抗張力鋼板……組織の制御などを行って、一般構造用鋼材よりも引張強度に優れる合金の鋼材。日本ではハイテン材とも呼ばれる。薄く軽くできるのが最大のメリット。引張強度が高い(900MPaなどの数値が大きい)鋼材を使うほどボディは軽くできる。

**ねじり剛性……走行中の車において、前後左右の4つのタイヤから車体に加わる力は、その大きさ、タイミングが異なる場合が多い。これが車体にねじれを発生する元となるが、このねじれに対しての車体の耐久性をねじり剛性と呼ぶ。振動、騒音、乗り心地やボディのしっかり感に影響する値である。

***モデルベース開発……コンピュータによるシミュレーションを積極的に取り入れた製品開発の手法。従来、実物の試作品などで行われていた動作や性能の検証をコンピュータ上でモデル化してシミュレーションを行い、製品開発の期間短縮や高効率化を図る。特に、自動車開発の分野で広く用いられる。

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