広ければ快適とは限らない!? 販売上位独占「スーパーハイトワゴン」で重視すべき5つのポイント

広ければ快適とは限らない!? 販売上位独占「スーパーハイトワゴン」で重視すべき5つのポイント

 大人気カテゴリーのひとつに「スーパーハイトワゴン」がある。2022年1月~5月までの国内販売ランキング(シリーズ車種はのぞく)では、上位4位までを独占した。スライドドアを装備し、実用性が高く、日本での使用環境にも適している。

 本稿では、大人気「スーパーハイトワゴン」を購入するにあたって、チェックしておきたいポイントを解説していく。

文/渡辺陽一郎、写真/HONDA、TOYOTA、DAIHATSU、SUZUKI、西尾タクト、奥隅圭之、平野 学

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スーパーハイトワゴンが国内販売ベスト4を独占!!

発売から5年経過しながらも国内販売台数で上位にランクインし続けているルーミー
発売から5年経過しながらも国内販売台数で上位にランクインし続けているルーミー

 2022年1~5月の国内販売ランキングベスト4車は、1位:N-BOX(1カ月平均は1万7760台)、2位:ルーミー(1万1546台)、3位:スペーシア(7779台)、4位:タント(7685台)であった。

 統計上はヤリスやカローラも上位に入るが、この2車種は複数のボディタイプ(ハッチバックのヤリスとSUVのヤリスクロスなど)を合計したシリーズ全体の台数だ。

 ユーザーの視点に立ち、別の車種と捉えると、先に挙げたN-BOXからタントまでが国内販売のベスト4車になる。そしてこれらの車種に共通するのは、すべて「スーパーハイトワゴン」というカテゴリーに含まれることだ。ボディは小さく、N-BOX/スペーシア/タントは軽自動車になる。ルーミーも全長が3700mm(標準ボディ)のコンパクトカーだ。

 そのいっぽうで天井は高く、全高は全車が1700mmを上まわる。ボディサイズの割に車内が広く、後席を畳むと自転車のような大きな荷物も積める。後席側のドアは、全車がスライド式を採用して、開いたときでもドアパネルが外側へ張り出しにくい。狭い場所でも乗り降りできる。

 このようにスーパーハイトワゴンは実用性が優れ、特に道幅や駐車場が狭い日本の使用環境に適している。そこで人気を高めて販売ランキングの上位を独占した。

 ここではスーパーハイトワゴンを選ぶ時に重視すべき機能を考えてみたい。購入する時の参考になると思う。

スライドドアは手動よりも電動がよし! 気になる後席の使い方をチェック!!

●購入時の重視点(1):後席の座り心地を確認する

 スーパーハイトワゴンの特徴は、ボディサイズの割に広い室内と快適な居住性を備えることだ。確かに前席はどの車種でも快適だが、後席には注意したい。スーパーハイトワゴンだから、頭上と足元の空間は広いが、座り心地や着座姿勢は車種による違いが大きい。

 例えば冒頭で挙げた販売ランキングの上位4車でも、ルーミーの後席は、床と座面の間隔が乏しい。座ると足を前方に投げ出す姿勢になりやすい。

 またルーミーとN-BOXの後席は、座面の柔軟性も不足気味だ。後席にチャイルドシートを装着するときは、座り心地が悪くても問題ないが、大人が3~4名で乗車するなら後席の座り心地を確かめておきたい。

●購入時の重視点(2):後席の乗降性

ピラーレス構造を採用したタントの開口部。フロントドアとリアスライドドアを両方開くと、開口幅が1490mmに広がり乗り降りがしやすい
ピラーレス構造を採用したタントの開口部。フロントドアとリアスライドドアを両方開くと、開口幅が1490mmに広がり乗り降りがしやすい

 スーパーハイトワゴンは天井が高いため、ハッチバックやセダンに比べてシートの着座位置も適度に持ち上がっている。乗降時の腰の上下移動量が少ない。また天井が高いから、背中を丸めたり頭を下げる必要もない。そのためにスーパーハイトワゴンは、ほかのカテゴリーの車種に比べて乗り降りがしやすい。

 ただし後席に装着されたスライドドアの開口幅は、車種によって差が生じる。例えばN-BOXのスライドドアは、開口幅が640mmだが、スペーシアは600mmに留まる。

 またタントの左側は、ピラー(柱)をスライドドアに内蔵させたから、前後のドアを両方ともに開くと開口幅が1490mmに広がる。乗降性を工夫している車種もあるから確認したい。

 なおスライドドアは手動式だと重いから、電動式が普及している。スイッチ操作で開閉できると、子供を抱えた状態で乗り降りする時も便利だ。電動式の設定は、グレードによって異なるので注意したい。左側は標準装着、右側はオプションという車種やグレードもある。

●購入時の重視点(3):シートアレンジと荷室の使いやすさ

 スーパーハイトワゴンは車内が広く、後席を畳むと自転車のような大きな荷物を積める。2列シート車だが、ミニバンのような使い方も可能だ。特定の荷物を積むなら、販売店の試乗車などを使って、実際に載せてみたい。

 このときにはシートの格納方法も確認する。今はN-BOX、スペーシア、タントのように、背もたれを前側に倒すと座面も連動して下がるタイプが増えた。ワンタッチで操作できて便利だが、広げた荷室の床に少し傾斜が生じる。

 その点でルーミーは、後席の背もたれを前側に倒し、さらに前方へスライドさせるように床面へ落とし込む。ワンタッチではないが、荷室の床を平らにできる。このあたりは一長一短だ。

 荷室の使い勝手では、路面からリアゲート開口下端部分までの高さも確認したい。リアゲート開口部の下端が高いと、自転車を積むときに、ハンドルと前輪を大きく持ち上げる必要が生じる。重い荷物を積むときも面倒だ。

 路面からリアゲート開口下端部分までの高さは、N-BOX:470mm、スペーシア:510mm、ルーミー:527mm、タント:580mmとされ、車種によって違いがある。積載性を重視するユーザーは、数値の小さい車種を選びたい。

 ただしリアゲート開口部の下端が低いと、開口面積が広くなるから、ボディ剛性の確保では不利になる。またリアゲートが上下方向に長くなると、開閉時にはリアゲートが手前へ大きく張り出す。リアゲート開口部の下端が低いことで生じる不都合もあるわけだ。

 背の高い荷物や重い荷物を積まないユーザーは、むしろリアゲート開口部の下端と荷室の床が適度に高く、荷室の床下に収納ボックスを備えるタイプの方が便利に使える。

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