2000年代初頭に謎に増殖したセンターメーター。その名の通り、インパネ中央に速度計などが設置されていたアレだが、今やプリウスやソリオ程度と採用例が超少なくなっているのだ。
ステアリング前にメーターフードなど、これまであったものが中央に配されるために、前方視界はよかった気もするが、そもそもなぜセンターメーターが一時代を築き、廃れてしまったのか?
文/永田恵一、写真/TOYOTA、DAIHATSU、NISSAN、MITSUBISHI
■超流行ったのに……今や絶滅危惧種に
最新のクルマに乗った際に「しばらく前はよく見たけど、最近見なくなったなあ」と感じるのがセンターメーターである。日本車においてセンターメーターは1997年登場の初代プリウスが採用して以来、2010年代はじめまで採用例がかなりあった。
しかし、2010年代中盤になると採用するモデルが減り始め、センターメーターを使う国産モデルはプリウス、ウエイク、ワゴンR、ソリオと片手くらいである。という背景もあり、ここではセンターメーターの歴史を振り返るなどしながら、センターメーターが激減した理由を考えてみた。
■元祖はクラシックミニ! 普及のきっかけはプリウスか!?
センターメーターは1970年代のクラシックミニなどイギリス車がはじまりといわれている。センターメーターを使ったモデルは日本車にも1970年代前半のライフステップバン、1989年に日産のパイクカー第二弾としてパオと同時に登場した商用車のエスカルゴがあった。
センターメーターが日本車でブレイクするのは冒頭に書いた初代プリウスからだ。
初代プリウス以降は、トヨタ ビスタアルデオ、ナディア、初代&2代目ヴィッツ。ダイハツ エッセ、ムーヴ(3代目と4代目のビッグマイナーチェンジまで)、ブーンルミナスなどなど多数、日産は初代エクストレイル、3代目プリメーラ、2代目プレサージュ、マツダはビアンテ、三菱は初代と2代目のeKワゴンなど、全高やダッシュボードの位置が高いモデルを中心にかなり普及した。
しかし、センターメーターの現状は冒頭に書いた通り絶滅寸前である。
■コストも視認性も有利! メーター内にナビを内蔵するなどメリット多数
センターメーターのメリットは大きく6つだ。
1つ目はイギリス車がセンターメーターのはじまりといわれているのと関係するのだが、センターメーターなら右ハンドルと左ハンドルがあるモデルでもメーターにつながるハーネスを共用化できる、ダッシュボードの左右が対称に近いのでコスト的には有利だ。
2つ目はメーターの視認性だ。センターメーターは通常のメーターより遠くなるので、運転中はなるべく遠くを見るというのが理想となるため、通常のメーターより視力によっては目のピントが合わせやすく見やすいこともある。
3つ目はドライバー以外の乗員にも走行情報が共有しやすい点だ。この点は子供の頃からクルマに同乗すると、リアシートからでもメーターを見ようとしていた筆者のような人には非常に嬉しい。しかし、この点は同乗者が神経質な人だと、車内の雰囲気が悪くなるのにつながる場合も。
4つ目もインフォメーション関係で、センターメーターにすることでメーターが大型化される傾向にある。そのためセンターメーター内にカーナビ機能を組み込むなど、メーターから一度に得られる情報の増加にもつながった。
5つ目はセンターメーターにすることで、通常のメーターがあったところを収納スペースにできる点だ。これは最近増えているメーターをハンドルの上部から見るモデルも同様だが、収納スペースが増えるのは便利だ。
6つ目はここまで挙げたメリットと見た目により、しばらく前までは未来的な雰囲気が感じられたことだ。このことからもセンターメーターは歴代プリウスや初代MIRAIなどのエポックメイキングなモデルや、コンセプトの新しいモデル、イメチェンとして使われるケースが多かったのもよく分かる。
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