■カッコいいけど……ピラーがないゆえ衝突安全性能に問題
まず、いわゆる「ピラーレスハードトップ」と呼ばれるBピラーが存在しない(正確にはルーフまでつながっていない)モデルについて。これは日産のセドリック&グロリアやシーマ、ローレルを始め、前述のカリーナEDなども採用していたもので、すべての窓を開け放ったときの圧倒的な解放感が魅力だった。
しかし、当然ながらBピラーがルーフまでつながっていないということは、その分ボディ剛性面では不利となり、側面衝突時などの安全性の確保にも多額の費用が必要となるという決定的な弱点が存在していた。
それだけに日に日に高まる安全基準をクリアするためにも、Bピラーを持たないピラーレスハードトップの4ドアセダンは姿を消していったということになるわけだ。
ちなみにBピラーを持たない4ドアハードトップ車の中でも古いモデルについては、シートベルトを外して格納するようになっている車種もある。
これは1992年11月までは一般道においてシートベルトの着用義務がなかったためにできる芸当となっている(とはいえ今の感覚でシートベルトなしでピラーレスハードトップに乗るのは恐怖しかないが)。
またBピラーは残るものの、ドアの窓枠を持たないいわゆるサッシュレスタイプのハードトップについても、当然ながら窓枠がない分、ドア本体の剛性が低下するのに加え、窓枠がないことで気密性が低下して遮音性が悪化するという弊害も存在してしまう。
これがスポーツカーやオープンカーであればそこまで問題にならないだろうが、快適性もないがしろにすることができない4ドア車では看過できないポイントとなってしまったのである。
■絶滅要因はセダン不人気にあり! 人気回復すれば復活の可能性も
そして何より、現在の日本ではそもそも4ドア車の人気が圧倒的に低下してしまっており、新規に4ドアハードトップ車をリリースしても採算が取れないというのが最大の消滅の理由と言えるだろう。
現に、現在でも一部の高級輸入モデルにおいては4ドアクーペなどと呼称されるサッシュレスのドアを持つモデルも販売されており、スタイリッシュなフォルムが一定の人気を博しているのはご存知の通り。
さまざまな技術が進化した現在であれば、衝突安全性や快適性なども担保した4ドアハードトップ車を作るのもそこまで難しいことではないハズなのだが、そもそもの需要が少なければ誕生することもないというのが悲しい現実となっているのだ。
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