バブル期に絶頂を迎えたカテゴリーといえば4ドアハードトップだ。ざっくり言えばBピラーを廃したモデルを指し、見た目の解放感が凄まじかったモデルたちである。
具体的にはセドリックやグロリア、クラウン、そしてマニアックなところをいえばエテルナなど各社しのぎを削っていたのだった。ところが、いつしかハードトップという言葉は聞かなくなってしまった。一時代を築いたのに姿を消してしまったワケとは!?
文/小鮒康一、写真/TOYOTA、NISSAN、MITSUBISHI、MAZDA、HONDA
■スタイル抜群だったのに……一世風靡するも今や絶滅状態
クルマのボディ形状を示す言葉のひとつである「ハードトップ」。これは直訳すると「硬い屋根」を持ったクルマということになるので、一部のオープンカーを除けばほとんど該当してしまうではないか、ということにもなってしまう。
もちろんそんなことはなく、語源となったのはオープンカーが着脱式のハードトップを装着したときのように、ドアサッシュやピラーがなくスッキリ見えるボディタイプのことを指している。
昔は2ドアのクーペスタイルの車両を中心に採用されていたハードトップスタイルだったが、時代が進むにつれて4ドアセダンにも採用例が増えた。
一時期はローレルやスカイライン、マークIIといったミドルクラスの車両からセドリック&グロリアやクラウンといった高級車までにもハードトップモデルが設定されるほどの人気となっていた。
そして1985年に登場したトヨタ カリーナEDでは、4ドアでありながらクーペ並みの低いシルエットと小さなキャビンを持つスタイルが一躍人気となり、空前の4ドアハードトップブームが到来。他メーカーからも日産プレセアやユーノス300&マツダ ペルソナなどのフォロワーを生むほどの人気となったのである。
しかしこのブームは長く続くことはなく、カリーナED(とその兄弟車のコロナEXiV)以外のモデルはすべて1世代のみで姿を消してしまっている。
また、セドリック&グロリアは2004年にフーガへバトンタッチしたタイミングで、クラウンはそれよりも早い1999年に11代目へとフルモデルチェンジを果たしたタイミングでそれぞれハードトップモデルが消滅しているのだ。
このように一時期は覇権を握る勢いで増殖していた4ドアハードトップであるが、今ではすっかりその勢いは廃れてしまっている。その理由とはどんなところにあったのだろうか?
コメント
コメントの使い方