■軽自動車の乗り心地や操縦性は大きく進化
ただ、ネガティブな要素ばかりではありません。最新の軽自動車の乗り心地や操縦性が1段進化したのを実感している人も少なくないと思います。ここ数年軽自動車のプラットフォームが見直され、ボディを含めたボディ剛性が大きく進化しているのです。
華奢で頼りなかったボディが明らかに骨太になったことで、ボディ+エンジン+MTの相性が俄然よくなっているのです。ボディのねじれが少なくなり、サスペンションの動きがスムーズになっています。
MT車に目を向けてみると、ホンダのNシリーズに用意されているのはS660用に開発された6速MTで、シンクロや波面剛性もしっかりと作り込んだオーバースペックなMTが流用されています。
この6速MTはスペシャル感があります。シフトリンケージの節度感とか、各ギヤのゲートにシフトノブを入れるときのタイトな手応えとか、S660のシフトフィールを思い出させてくれるものですし、S660に触ったことにない人でもその剛性感やシフトタッチの良さはそれだけで十分に楽しいと感じら荒れるものです。
コペンの5速MTも、オープンスポーツカーを実感させる節度感のあるもので、低回転域からトルクの厚みのあるエンジンとの相性が良く、手軽かつ本格的なスポーツ感覚を味わうことができます。
ジムニーは言うまでもないくらいスペシャルです。全てがリファインされたジムニーは、一般道ではATとのマッチングの良さに驚かされ、ATで十分か? という思いが脳裏をかすめますが、ラフロードやオフロードに足を踏み入れたときのMT車の万能感は別格です。
ワゴンRに用意されている5速MTはNAモデルのみの設定で、パワーも49ps/58Nmとごく普通のエンジンと組み合わされています。そんなわけであまり期待していなかったのですが、上手にギヤをつなぎながら走らせると思いのほか楽しく走れるのに驚かされました。
CVTよりもずっと微細にアクセルコントロールが効くので、思い通りにクルマを走らせることができ、改めてワゴンRのボディの出来の良さや素直な操縦性を再認識したのでした。
正直なところ、軽自動車にはCVT化の波が押し寄せており、この先MTがどこまでラインアップされるのか不透明な状況です。
でもその一方で、今残されているMTはどれも走らせていて楽しいと思えるものだし、例えていうなら、ATの軽自動車がイージーで快適なハコだとすると、MTに乗り換えたとたん自由に動く手足を手に入れたような感覚になります。
MT車がラインアアップからなくならないうちに、一度試乗してみてはいかがでしょう? 身近なところにFUN to DRIVEがあることを発見できるのではないかと思います。
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