シートベルトは身長何cm以上で安全に使用できるのか?
車両シートベルトが正しく着用できるのは身長145~150cmを超えてからである。筆者自身がこれまで自動車メーカー各社に確認しているが、「クルマのシートベルトが安全に使えるのは身長何センチ以上ですか?」という質問に対して、
「身長145cm以上で安全の確認をしています」
「現在、最も小さな人体ダミーは「AF05」(成人女性の5%に入る体格という意味)を使っています。AF05は身長150cmです」
などの回答がそろった。
クルマにもよるが、後部座席のシートベルト(肩ベルトが出てくる位置)はピラーから出るものと、シート本体の肩部分から出てくるものの2種が主流だが、ピラーからとシート本体からでは当然、高さが異なる。スポーツカーやクーペタイプなど車高の低いクルマの中には身長140cm前後からでも後席ベルトが安全に使えるクルマもあるが、ミニバンなどピラーや天井から出るベルトの場合は145~150cm以上を想定しているといっていいだろう。
その証拠に日本の自動車メーカーが設定する純正ジュニアシートは2016年の時点で全社が身長150㎝まで使えるジュニアシートを設定している。(※助手席でジュニアシートを使う際には万が一の際、エアバッグの衝撃を避けるためシートを最後部まで下げてから使用のこと)
2016/1/25 交通政策審議会 第3回 技術安全WGの資料を見てみよう。
各社身長100cm~150cmまで使える学童用シート(ジュニアシート)を純正オプションとしてラインナップしている。これは言い換えれば、「身長150cmを超えるまではシートベルトだけでは危険、ジュニアシートを使ってください」というメーカーからのメッセージだ。
座面だけのジュニアシート使用にも実は決まりがある
ジュニアシートというと、多くの人は座面だけのブースター(かさ上げ)シートを思い浮かべるだろう。また近年は座面部分がなく、肩ベルトの高さを調整して(肩ベルトの支点を低くして子供の体に合わせる)使用するタイプも出てきている。いずれも、背もたれやヘッドレストが存在しないタイプだ。
この「座面だけ」のジュニアシートは2017年2月9日以降にECE R44/04(日本が採択している国連欧州基準)の認証を受ける製品に関しては、身長125cm、体重22kgを超えてからの使用が義務付けられるようになった。
それ以前に認証を受けたものは、体重15kg~使用できるとされているが、なかには基準が変わる直前に滑り込みで認証を受けた製品も存在する。
しかし、ここで考えてみてほしい。座面だけのシートに対する安全基準がなぜ厳しくなったのか。身長125cm、体重22kgという体格での使用を「新たに」追加して義務付けた理由は何か。
それはチャイルドシートの安全性を審査する国際機関において、「身長125cm、体重22kg以下で背もたれのない座面だけのジュニアシートを使用するのは危険」という結論が出たからである。確かに背もたれなしのブースターシートは値段も2000円前後からありコンパクトで場所を取らない利点はある。しかしそれらは、身長125cmを超えてからの使用となる。
なお、古い基準で認証を得ているブースターシートの中には「体重15kg以上、3歳以上で使用できます」と書いているものもある。本当に子どもの安全を考える良心的なメーカーなら、古い基準で認証を受けたブースターシートでも、「身長125cm、体重22kg以上で使用してください」と書いてある。



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