「そっくりさんメーカー」からEV販売台数世界一へ! BYDが果たしたチャイニーズドリーム


■「投資の神様」ウォーレン・バフェットから243億円の資金投資

当初のBYDのクルマ作りは、当時の中国風ものづくりの典型で、先進国の人気車をまんまコピーするというお粗末なものだった。しかし、貪欲に研究開発を続けた結果、三菱の1.6Lエンジンを積む「F3」という小型車が大ヒットし、BYDは中国自動車産業のなかに一定の存在感を示すことに成功する。

そして2008年。世界にBYDの名前が知れ渡る大きな出来事が2つ起こった。

ひとつは、投資の神様と呼ばれるアメリカの著名な投資家、ウォーレン・バフェット氏が、18億香港ドル(約243億円)を出資して、BYD株の約9.8%を取得したことだ。

もうひとつは、2008年の12月。BYDが世界初の量産型プラグインハイブリッド「F3DM」を発売したことだ。

これはまさに王が願っていた電池部門と自動車部門の融合ともいえるプロジェクトで、シボレー・ボルトより約2年、プリウスPHVよりも約3年早い画期的な事件。同時に中国自動車産業の急成長を象徴するニュースでもあった。

■メルセデスとも提携 デザイナーはアウディ

こうした攻めの経営が功を奏して、BYDの自動車販売は年間50万台ペースへと拡大を遂げる。2010年になると、ライバルの少ない大型車両の分野にも進出し、「K9」と呼ばれる電動バスを発表した。このK9、現在は世界60カ国以上に輸出されており、われらが日本でも京都のバス路線で5台が運行されている。

BYDの電動バスK9。スペック上は3時間のフル充電で250kmの走行が可能という

さらに同じ2010年にはメルセデスベンツとの提携を実現。今年4月に開かれた北京モーターショーでは、両社の合弁会社である騰勢(デンザ)から、メルセデスBクラスのプラットフォームを使ったコンパクトEV「500」を出展し、話題を呼んだ。

近年はアウディからデザイナーを引き抜くなど、オリジナルデザインの追求にも熱心で、もはや「そっくりさんカー」は過去の笑い話だ。

メルセデスBクラスのプラットフォームを使ったコンパクトEV、騰勢(デンザ)の500

中国政府のエコカー補助金の減額などもあり、最近はBYDの息切れを指摘する人も多い(編集部註:2018年8月発表の2018年上半期(1~6月)の決算では、売上高は19%の増となったものの、純利益は72.2%の減益(4億7900万元)となっている。やはり中国政府の補助金の減額が大きく響いたようだ)。実際、電池製造の分野ではCATLという企業が急速に業績を伸ばしており、リチウムイオン電池の出荷量では、首位を奪われてしまった。

しかしNEV(ニュー・エナジー・ビークル)政策を進める中国としては、中国製バッテリーを積んでいないPHVやEVは、NEVとして認めないとみられており、BYDの立場は容易に揺るぎそうもない。日本の自動車メーカーにとっても、手強いライバルとなりそうだ。

〈BYDの基本データ〉
創業年:
1995年(※BYDモーターは2003年)
所在地:中国・深圳
創業者:王傳福(2009年中国資産家ランキング1位)
社名の由来:中国語表記は「比亜迪」。由来は不明だが、その発音(ビーヤーディ)にBYDという英語を当て、「Build Your Dreams」の頭文字だとしている。

〈BYD 沿革〉
■1995年、安徽省生まれの王傳福氏が電池の開発・製造のために深圳で創業
■
2017年、EV販売台数で世界一に。さらには大型バスやモノレール事業にも進出

■メルセデス・ベンツと提携しアウディからデザイナーを招くなど、国際化に注力

BYD(海外サイト)

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