「そっくりさんメーカー」からEV販売台数世界一へ! BYDが果たしたチャイニーズドリーム

■メルセデスとも提携 デザイナーはアウディ

こうした攻めの経営が功を奏して、BYDの自動車販売は年間50万台ペースへと拡大を遂げる。2010年になると、ライバルの少ない大型車両の分野にも進出し、「K9」と呼ばれる電動バスを発表した。このK9、現在は世界60カ国以上に輸出されており、われらが日本でも京都のバス路線で5台が運行されている。

BYDの電動バスK9。スペック上は3時間のフル充電で250kmの走行が可能という

さらに同じ2010年にはメルセデスベンツとの提携を実現。今年4月に開かれた北京モーターショーでは、両社の合弁会社である騰勢(デンザ)から、メルセデスBクラスのプラットフォームを使ったコンパクトEV「500」を出展し、話題を呼んだ。

近年はアウディからデザイナーを引き抜くなど、オリジナルデザインの追求にも熱心で、もはや「そっくりさんカー」は過去の笑い話だ。

メルセデスBクラスのプラットフォームを使ったコンパクトEV、騰勢(デンザ)の500

中国政府のエコカー補助金の減額などもあり、最近はBYDの息切れを指摘する人も多い(編集部註:2018年8月発表の2018年上半期(1~6月)の決算では、売上高は19%の増となったものの、純利益は72.2%の減益(4億7900万元)となっている。やはり中国政府の補助金の減額が大きく響いたようだ)。実際、電池製造の分野ではCATLという企業が急速に業績を伸ばしており、リチウムイオン電池の出荷量では、首位を奪われてしまった。

しかしNEV(ニュー・エナジー・ビークル)政策を進める中国としては、中国製バッテリーを積んでいないPHVやEVは、NEVとして認めないとみられており、BYDの立場は容易に揺るぎそうもない。日本の自動車メーカーにとっても、手強いライバルとなりそうだ。

〈BYDの基本データ〉
創業年:
1995年(※BYDモーターは2003年)
所在地:中国・深圳
創業者:王傳福(2009年中国資産家ランキング1位)
社名の由来:中国語表記は「比亜迪」。由来は不明だが、その発音(ビーヤーディ)にBYDという英語を当て、「Build Your Dreams」の頭文字だとしている。

〈BYD 沿革〉
■1995年、安徽省生まれの王傳福氏が電池の開発・製造のために深圳で創業
■
2017年、EV販売台数で世界一に。さらには大型バスやモノレール事業にも進出

■メルセデス・ベンツと提携しアウディからデザイナーを招くなど、国際化に注力

BYD(海外サイト)

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