新型クラウン「ここがいい」と「これでいいのか!?」大ヒット中!!2万台突破!!

■走りも質感も大幅進化!! そして実質的値下げともいえる価格設定

(TEXT/渡辺陽一郎)

新型クラウンの課題は、65〜70歳に達したユーザーの若返りだ。そこで新型は外観をファストバック風に仕上げ、プラットフォームはレクサスLSと共通化させ、1974年に始まった伝統のロイヤルサルーンを廃止した。

試乗すると、走行安定性が優れている。RSは硬めだが粗さはなく、Gは快適性と走りのバランスがよい。

この乗り味が500万円前後で得られれば、従来型や欧州セダンに比べて割安だが、多くのユーザーは欧州セダンを選ぶ。新型クラウンの進化が欧州車を向いているからだ。クラウンを買う人たちは700万円程度なら支払えるから本家本元を選ぶ。

「賛否両論ありましたが、自分としては斜め後ろからの姿が一番好きです」と秋山CEが言う細身のCピラーによる6ライトキャビンを採用する

新型は、従来型に見られたセダンの典型的な外観、日本的なテカテカした光沢のある木目調パネル、ルーズなハンドリングなどを切り捨てた。そうするなら「日本のユーザーの琴線に触れる、欧州車とはまったく違うクラウン独自の新しい価値」が必要だ。新型クラウンにはそれがない。

クラウンは日本を代表する偉大な高級車だから、変革には相当な困難を伴う。今後も熟成させたいが、顧客の高齢化を考えると悠長にはできない。極めて優れた開発能力が求められる。

クルマとしての仕上がりのよさは認めるも細部の作り込みにコストダウンを感じてしまうと渡辺氏

■シャシー性能の高さはBMWレベル! あとは“クラウンらしさ”の演出が課題である

(TEXT/川島茂夫)

新型クラウン、クルマとしての出来のよさはいうまでもないことで、なんの不満もない。

ただ、それでいいのか!? という気持ちもある。

つまり、ゼロクラウン以前のクラウンといえば、フワフワとした乗り心地が個性だったわけで、その善し悪しはともかくとして、この乗り味を求めていたお客さんがいるわけだ。

ゼロクラウン以降、若返りを狙ったクラウンは欧州車的なシャシー性能を追求し、相対的にフカフカな乗り味は影を潜めた。

その究極が今回の15代目クラウン。ニュルを走って鍛え上げたというだけあって、その操安性能は非常に高い。

前席は座った瞬間にヒップポイントの低さを実感する。また、特別バケット形状というわけではないが、スッと身体をホールドしてくれる「収まりのいい」シート

でもこれってBMW5シリーズじゃないの!? と感じてしまうのだ。みごとなまでに5シリーズの操安性とイメージがダブる。

なにを言いたいのかというと、クラウンの個性ってなに!? を今一度振り返り、あのフワフワな乗り味を維持しながら現代に通用する高い高速走行安定性や操縦性能を狙ってはどうなのか!? ということ。

欧州車の走りを追い求めるのはいいのだが、『クラウン』という歴史あるクルマの個性を際立たせる演出がこの先長く生き続けるためには必要だということを感じた。

ドイツ車的走りのよさを追求した狙いはよくわかるが、もっとクラウンの個性を発揮して欲しいと語ってくれた川島氏

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