■レクサスや輸入SUVもロックオンするクラウンスポーツ
クラウンスポーツが意識するのは、身内のハリアーだけではない。レクサスや輸入SUVにも照準を合わせている感じを受ける。
同じGA-Kプラットフォームを採用するレクサスの新型RXは、クラウンスポーツよりも一回り大きいクルマだ。全長は180mm、全幅が40mm、全高は135mm、RXの方がビッグである。おそらく価格帯としても、RXが大きく上を行く存在となりそうで、直接的な戦いにはならないだろう。
クラウンクロスオーバーの価格設定から予想すると、NXを含めたトヨタ・レクサスのSUVは下から、ハリアー・NX・クラウンスポーツ・RXという順に並びそうだ。仮に同門の食い合いがあるとすれば、NXを検討するユーザーが対象になると思う。
クルマは小さいが高級ブランドレクサスのNXを選ぶか、トヨタの上級モデルになるクラウンスポーツを選ぶか。悩ましい選択になりそうだ。
また、輸入SUVとのマッチアップも大いに期待できる。メルセデスのGLC、BMWのX3、アウディQ5、ポルシェマカンなど、全長4.7m前後の輸入車SUVには人気車種が多い。
質感、価格で比較した際に、ハリアーでは力不足だったが、クラウンブランドであれば、大人気の輸入SUVとも勝負が出来るだろう。クラウンスポーツは、NXとタッグを組みながら、輸入SUVに流れていったユーザーを、トヨタ・レクサスへ取り戻す起爆剤となると筆者は考える。
■トヨタSUV最強の布陣が完成
トヨタSUVラインナップは、大きく3つに分けられそうだ。
本格クロスカントリーには、ランドクルーザーとランクルプラド、そしてハイラックスが並ぶ。少し走破性は落ちるが、非舗装路もいける布陣にはRAV4とヤリスクロス、そしてライズがサイズ違いで用意された。
さらに主力となる舗装路を軸に考えられたSUVには、クラウンクロスオーバー、クラウンスポーツ、クラウンエステートのクラウン3シリーズを加え、ハリアー、カローラクロス、C-HRと盤石の体制だ。加えてBEVのbZ4Xもある。
エントリーからミドルの価格帯については、ライズ、ヤリスクロス、C-HR、カローラクロス、加えてRAV4のガソリンモデルまで、キャラクターや価格帯を上手く変えながら、売り分けができていたトヨタ販売店。顧客ニーズも多様化する価格帯なだけに、多彩な選択肢は販売店の大きな武器になったはずだ。
今回追加されるクラウンクロスオーバー、そしてスポーツやエステートはどのように売り分けていくのか。ここにハリアーとbZ4Xを加えて、車種の乱立が予想される500万円以上のSUVは、トヨタで咲き乱れることとなる。
同様の車種展開は、メルセデスでもBMWでも、世界販売のライバルとなるフォルクスワーゲンでも行われているから、ここで同士討ちを起こし、需要の食い合いをしては、「販売のトヨタ」の名が廃るだろう。
SUVについてはラインナップを上手く機能させ、勝負を優位に運んできたトヨタ。今後登場してくるクラウンシリーズは、個性を明確に分けにくい高級価格帯のクルマなだけに、最初のプロモーションが非常に重要になる。
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今のところ、クラウンスポーツとハリアーとの同士討ちは避けられそうだ。高級感はもちろんだが、乗り味の部分で「これぞクラウン」という部分が出てくれば、さらにハリアーとの差は明確になるだろう。
高級車に対して、本気の取り組みを見せてきたトヨタだが、その勢いを同士討ちでつぶしてしまうのはもったいない。クラウンスポーツがどのようなイメージをユーザーに植え付けるか、その動向にトヨタ高級SUV全体の命運がかかっている。
【画像ギャラリー】同士討ちか!? 共存共栄か!? 衝撃発表のクラウンスポーツと咲き乱れるトヨタ高級SUVファミリー(18枚)画像ギャラリー
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