なんで路線バスにシートベルトないの?! その衝撃のワケとは


 悲惨な事故からドライバーや同乗者を守るため、道路交通法が強化されて、以前は免除されていた乗用車の後席もシートベルトが必須となった。これと同様に高速バスでもシートベルトの着用が義務化されたが、路線バスは除外されており、そもそもシートベルトが装備されていない。その理由とは?

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)

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路線バスのシートベルト その効果はいかに!?

連節車でも路線バスなのでシートベルトはない

 まず、自動車の安全装備(保安設備)は国土交通省令「道路運送車両の保安基準」の第22条の3に、「座席ベルト等」という項目があり「専ら乗用の用に供する自動車であつて、乗車定員10人以上のもの(高速道路等において運行しないものに限る。)」については運転席とそれに並行する座席(助手席のことで実際にはキャブオーバーの小型バス以外にはほぼ無い)以外の座席に、シートベルトの規定はない。

 上記が法規上の理由であるが、これは法規を文章で述べれば、というもの。現実問題として路線バスには座席数は少なく、大型車なら定員80名程度のうち、着席できるのは20名程度という設定が多い。これには、路線バスの運行形態の特徴として、低速走行、近距離運行でバス停間も短く、ひんばんな客乗降があるということに起因する。

高速バスとして走るバスには当然シートベルトはある

 つまり路線バスにシートベルトを装備しても、その使用によって期待される安全効果は薄いと思われ、それよりも別の手段を講じて安全を確保した方が、実効的であり、確実であるという考えだ。

 その“別の手段”とは、発進、加速、航行、減速、停止といった運転操作の挙動をドライバー(乗務員)は静かに行い、乗客は可能な限り着座、立ち客は吊革や握り棒を利用して身体を固定するという状態を作る。

 カープや交差点での右左折時には、車内アナウンスで乗客に警告する、といったドライバー(乗務員)の業務姿勢が常時行われていることにより、シートベルト無しでの運行が実現しているというのが現実だろう。

都市高速を走る路線バスにもシートベルトが無い理由

 一方で、多くの都市高速道路を経由する路線バスを運行するバス事業者として有名な西日本鉄道(西鉄)でも、こういった都市高速道路を走る路線バスではシートベルトはついていないし、立席すらできる(他の地域でも同じ)。都市高速道路はいわゆる高速道路(高速自動車国道)ではなく自動車専用道路だ。

都市高速道路経由の路線バスは立席OK

 都市高速道路を走る路線の場合は、路線全区間のうち都市高速道路の区間が半分以下であること、規制速度にかかわらず60km/h以下で走行すること、バスの前後に60km/h以下で走行する旨のステッカーを貼付することを条件に一般路線バスと同じ基準での運行が認められている。

西鉄の60km/hシール

すべては安全に対する努力の成果だ!!

 というように、路線バスにシートベルトが装備されていないのは、安全を担保するという裏付けを得た合理的とも言える設定だ。そこにはもちろん、バス事業者ではドライバーのたゆまぬ努力があり、また社内安全装備の設定といった製造メーカー、架装メーカーのテクノロジーも生きている。

 そして何より利用者は、「バスにはシートベルトが無いから手放しで安全」などと勘違いせずに、運行時における車内での注意や事故予防意識を忘れず、つり革や握り棒にきちんとつかまって、安全を担保することで、今後も“シートベルト無しの安全な路線バス”が運行し続けることができるよう、協力していただければ幸いだ。

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