これから遅くとも数年以内に生産終了することがわかっているクルマ、またはフルモデルチェンジによって、駆動方式やエンジンがガラッと変わってしまうクルマがある。
そうしたクルマの中には、必ずと言っていいほど生産終了やフルモデルチェンジによって中古車市場で価格が上がり、プレミア価格がつくモデルがある。
そこで、現時点で近い将来、生産終了することがわかっているクルマや生産終了が予想されるクルマのなかから、生産終了後、フルモデルチェンジ後に中古車市場価格が跳ね上がりそうなクルマを編集部が5台ピックアップ。
はたして、これらのモデルは生産終了前にすぐ買うべきなのか、あるいはもうしばらく静観してもよいのか? 中古車事情に詳しいモータージャーナリスト、萩原文博氏に見通しを考察してもらった。
文/萩原文博
写真/ベストカーWeb編集部
■絶版車の人気が高くなるケースはいくつかのパターンがある
中古車に関する話題で注目されているのは、スカイラインGT-Rやスープラといったいわゆる絶版車が値上がりしているというものが多い。
絶版車とはすでにケースには生産が終了していて、中古車でしか手に入らないクルマのこと。絶版車はこれまで販売されたクルマの台数がMAXとなっており、オーナーが手放さないかぎり、中古車として流通することがないからだ。
こういった絶版車で人気が高くなるケースはいくつかのパターンがある。例えばAE86カローラレビン/スプリンタートレノのようにフルモデルチェンジで駆動方式が変わってしまったもの。
RB26DETTや2JZ-GTEといったいわゆる名機と呼ばれるエンジンを搭載しているもの。そして、生産台数が少なかった特別仕様車/限定車などだ。
一方、新車の時はあまり人気がなかったが、テレビや漫画などの影響で絶版車となってから人気となるもの。そしてレパードとソアラのように新車の時と中古車になってから人気が逆転するといった現象も起きることもある。
そこで、今回は、フルモデルチェンジや生産終了が予想される、または生産終了が決まったクルマのなかから、今後値が上がりそうなクルマを5台ピックアップし、まだ中古車相場が平穏なうちに買っておくべきなのか、それとも見送るべきなのかを検証してみたい。
■スバルWRX STI/最後のEJ20エンジン!
1989年に登場した初代レガシィに搭載され、WRCでの栄光を支えたスバルの名機エンジンといえば、EJ20型。まもなく登場から30年が経過しようとしているが、現在でもWRX STIに搭載されている。
この熟成の進んだEJ20も2020年を予定しているWRX STIのフルモデルチェンジでは、FA20型に変更されるという話になっており、現行型のWRX STIがEJ20型搭載の最後のモデルといわれている。
現在のところ、2014年8月にデビューした現行VAB型WRX STIの中古車相場は値落ち傾向となっているが、生産終了となり、絶版となれば、間違いなく値上がりするはずだ。
スバルファンにとってEJ20型は日産でいえばRB26DETT、マツダでいえば13Bターボなどと同じぐらい名機といわれているからだ。
しかもWRX STIは6速MTしか設定されていないという硬派なモデル。もともと中古車の流通台数が少ないので、確実に値上がりする。
カタログモデルのWRX STIやWRX STIタイプSはもちろん、STIが手掛けたコンプリートカーのS207、S208などのSシリーズ。そしてSTI30周年記念のコンプリートカーのタイプRA-Rは現在でも高値だが、さらなる高騰も予想される。
ちなみに現行WRX STIの価格は386万6400〜406万800円。S207は2015年10月に限定400台、599万4000〜637万2000円で販売された。 S208は2017年10月に限定450台、価格は626万4000〜710万6400円。2018年7月に発売されたタイプRA-Rは限定500台、価格は499万8240円。
タイプRA-Rの中古車はさすがにまだ流通していないが、S208は12台流通し、平均価格も3カ月前は800万円オーバーというプレミアム価格だったが、最近では750万円付近まで下がっており、値落ちそして流通台数が多い今がS208は買い時となっている。
今後、流通台数が増える可能性も少ないので、買っておくべき最重要車種といえる。また、新型WRX STIのフルモデルチェンジ前には、STIがEJ20型エンジンを搭載したSTI史上最強のコンプリートカーを登場させるといわれている。今から貯金してこのモデルはスバルファンなら必ず手に入れておくべきだろう。
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