■居住性を追求した3列シートと室内スペース
乗員の快適性に影響する車内の広さについては、デビュー当時、ミニバンクラス(全高1.8m以上の1.5~2Lクラス 8人乗りミニバン)のなかではナンバー1であることを謳っていた。もちろん、数値が大きければいいというものでもない。セレナでは数値上の広さを追求するだけではなく、「広く見せる」ための工夫が各所に盛り込まれている。
たとえば、天井のヘッドライニングを凹凸の少ないのびやかなカタチにしたり、1列目は視界を広げて開放感を演出したり、2列目ではBピラーとシートの間隔を広げてゆとりを感じさせるようにした。さらに3列目ではホイールハウスの出っ張りを抑えて足もとに余裕をもたせるなど、どの席でも広さが感じられるように室内空間を作り上げている。
ミニバンの特等席といえば2列目だが、この部分の広さも特筆すべきポイントだ。シートを3列目の乗員が窮屈に感じない位置にセットした状態でも膝まわりに余裕が確保されるが、超ロングスライド+横スライドによって690mmのスライドを活用すると、足を伸ばして座れるほどの広さがある。
しかも、3列目にも十分なゆとりがあり、シートは跳ね上げを前提としているが、座面が長くて着座時のストロークがしっかりと確保されているので座り心地は良好。3列目が非常用でもなく、罰ゲーム的なスペースになっておらず、文字通り「どの席でも快適」に乗車できるのだ。
車内は広さだけでなく、質感の高さにこだわった作り込みがなされている。運転席まわりには、人の手でステッチを施した合成皮革をあしらい、中央には宙に浮いているかのようなピアノ調ブラック&シルバーコーディネーションのセンターコンソールを配置。こうした細部にまで表現したワンランク上の上質感が、登場から6年を経ても、あるいは新型へと移行したライバルと比較しても古さを感じさせない。
■使いやすさと快適な走りを両立!
使い勝手のよさが実感させる機能の充実ぶりもセレナの販売を支えている要因と言える。特に注目すべきは、「ハンズフリースライドドア」と「デュアルバックドア」のふたつ。
「こんなのがあったらいいな」という機能や装備がどれだけ備わっているかが、ミニバンの使い勝手のよし悪しを左右し、クルマの価値にも影響することを考慮すると、ハンズフリースライドドアやデュアルバックドアを積極的に採用したことは、現在のセレナ人気に貢献しているのは間違いないだろう。
運転しやすいという点も見逃すわけにはいかない。5ナンバーサイズのボディは、もともと取りまわし性に優れているが、ガラスエリアを大きくデザインしたことにより、全方位で良好な運転視界が確保され車両感覚が掴みやすい。
また、運転席まわりはスイッチの操作性、メーターの視認性ともに抜群。誰でも運転がスムースに行なえるというのは、家族で使うことを前提として選ばれるミニバンにとっては欠かせない要素であり、これもセレナが支持されている要因と言える。
そして、衰えないセレナ人気を支える要素としては、やはり「e-POWER」ははずせない。
ライバルのフルハイブリッドよりも導入コストが抑えられるというメリットはあるが、燃料消費の抑制という点では心許なく、当時のプレス用資料では、「ミニバンのために開発されたハイブリッド」と謳いつつも、セールスポイントとしては弱すぎた感は否めない。
そうした状況を打破したのがセレナ e-POWERであり、e-POWERがもたらす電気自動車的な先進の運転感覚や、26.2km/L(JC08モード)というS-HYBRIDよりも優秀な燃費性能も相まって、セレナは再度注目を集め、ミニバンクラスにおける地位をより盤石なものとした。
コメント
コメントの使い方ノアヴォク、ステップワゴンに比べて、床が高くて乗り降りしづらいんだよな
それでも売れるのは凄いな
頑張れ日産セレナ