今や生産も販売も世界一の自動車大国となった中国。電気自動車などの技術面だけでなく、デザインにおいても世界中の著名デザイナーを採用し、かつての「パクリ大国」は過去の存在となりつつある。
だが、パクリから脱却している今の時代の中でも、いわれのない「パクリ」批判を受ける中国車は数多く存在する。もちろん、今までの「パクリ」の歴史の上に存在する意見なので致し方ない点もあるが、中には正規品として生産しているのにも関わらず、見た目がそっくりなだけでパクリ認定されている気の毒なクルマも少なからず存在する。
文、写真/加藤博人
【画像ギャラリー】「どこかで見た顔な気が……あ!! パクリ車だ!!!!」と決めつけることなかれ。実は複雑な背景を持ったそっくりカーとパクリ車たち(30枚)画像ギャラリー■「パクリじゃないのにパクリだと言われているクルマ」
上記の最たる例が、「華晨汽車(ブリリアンス)」の「金杯」ブランドから販売されている「海獅」である。「海獅」と言われてもピンと来ないかもしれないが、読みである “hǎi shī” で表記すればわかりやすいだろう。そのフォルムからもわかる通り、このクルマはトヨタの大人気商用車、ハイエースにそっくり、というかハイエースそのものだ。
このクルマは「中国で製造・販売されている」という事実でバイアスや思い込みが邪魔をしてくるだろうが、実はトヨタから許可を得て生産している正規ライセンス品なのである。
なので、中国ではトヨタ ハイエースは「ハイエース」としてトヨタから販売されていないが、代わりに華晨汽車の「金杯 海獅」としてなら手に入れることが可能となる。
「金杯 海獅」以外にも、トヨタのハイエースにそっくりな車種は中国に多く存在するが、もちろんそれらは非正規のコピー車となる。「金龍 凱歌」、「九龍 Aシリーズ」、「福田 風景」、「金程 海獅」など、有象無象の中のほんの一例で、中国におけるハイエースのコピー車は追いきれないほど小さい会社も生産を行うほどとなっている。
だが一つ確実なのは、トヨタは華晨汽車にしかライセンスを出しておらず、そこが生産するハイエースは絶対的な正規品であるという点。なので、中国でハイエースのそっくりさんを見かけたとしても、金杯のバッジが装着されていればどうか見逃してあげてほしい。
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