■クラウンクロスオーバー
●ライバル車:マツダ CX-60
クラウンクロスオーバーは、駆動方式が前輪駆動ベースの4WDのみになり、全幅は先代セダンの1800mmから1840mmに拡大された。そこで全車に後輪操舵のDRSを標準装着して、最小回転半径を5.4mに抑えている。
パワーユニットは直列4気筒2.5Lハイブリッドと、2.4Lターボのハイブリッドだ。ターボの価格は、装備の違いを補正すると2.5Lに比べて実質57万円高く、システム最高出力と燃料代は、それぞれ2.5Lの1.5倍に相当する。
つまりターボはパワー指向のハイブリッドで、一般的な選択は2.5Lだ。主力グレードは、装備を充実させたGアドバンストで、価格は510万円になる。
またクラウンクロスオーバーは、セダンボディのSUVだ。後席と荷室の間に骨格が通り、後部に大きなリヤゲートは装着されない。小さなトランクフードから荷物を出し入れする。後席は中央部分しか前側に倒れず、荷室を拡大できない。
同様のボディ形状をSUVのシトロエンC4Xも使うが、一般的な存在ではない。クラウンクロスオーバーのボディ形状を考えると、ライバル車は不在だ。
しかし価格が510万円のSUVとして捉えると、CX-60がライバル車に挙がる。CX-60で人気の高いグレードは、XDハイブリッドエクスクルーシブスポーツとエクスクルーシブモダンだ。
両車とも直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボとマイルドハイブリッドを搭載して、内装の質も高く、価格は505万4500円になる。
クラウンクロスオーバーGアドバンストと、CX-60 XDハイブリッドエクスクルーシブスポーツ&エクスクルーシブモダンを比べると、メカニズムや内装において、クラウンクロスオーバーは割高になってしまう。
その理由は、クラウンクロスオーバーの価格がセダンの先代型を引きずっているからだ。先代クラウンに2.5Lハイブリッドを搭載する主力グレードのRSは、2WDが531万9000円だった。
これに比べると新型は4WDも搭載して510万円だから割安に思えるが、SUVは売れ筋カテゴリーとあって価格競争が激しい。クラウンクロスオーバーの価格は、先代型のセダンよりは割安だが、SUVのライバル車に比べると割高なのだ。
■クラウンスポーツ
●ライバル車:三菱 アウトランダー
クラウンスポーツは、文字通りスポーティ感覚のSUVだ。全長は4710mmだから、クラウンクロスオーバーに比べて220mm短い。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も2770mmだから80mm下まわる。
一方、ハリアーは全長が4740mm、ホイールベースは2690mmだ。クラウンスポーツのホイールベースは、クラウンクロスオーバーとハリアーの中間だが、全長については、クラウンスポーツがハリアーよりも30mm短い。
つまりクラウンスポーツは、ホイールベースの割に全長が短く、塊感を強めた。このデザインでは、ボディがホイールから前後に張り出したオーバーハングが短くなり、カーブを曲がったり車線を変える時に慣性の影響を受けにくい。つまり走行安定性も向上する。
クラウンスポーツのライバル車はアウトランダーだ。2.4Lエンジンを発電機として使うプラグインハイブリッドを搭載する。20kWhの駆動用電池を備えて、売れ筋グレードは1回の充電で85kmを走行できる。
そしてアウトランダーは、前後にモーターを搭載して4輪の制御も積極的に行い、良く曲がるスポーティな走りを満喫できる。ここがクラウンスポーツとの共通点だ。アウトランダーの価格は、本革シートなどを備える充実装備のPが532万700円だから、機能や装備の割に価格が安い。
クラウンスポーツがクラウンクロスオーバーと同等の価格設定にすると、アウトランダーとの価格競争で負ける可能性がある。
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