■クラウンエステート
●ライバル車:レクサス RX、マツダ CX-8
クラウンエステートは、基本サイズがクロスオーバーに近い。全長は4930mm、ホイールベースは2850mmだから、両方ともクロスオーバーと同じだ。その一方で全幅はエステートが1880mmだから40mm広く、全高も1620mmだから80mm高い。
クラウンクロスオーバーのボディ形状は、後席から独立したトランクスペースを備えるセダンで、全高は1540mmだから立体駐車場を使いやすい。つまりセダンとSUVの中間的な存在だが、エステートはボディの後部にリヤゲートを備えて、全高も1600mmを超える。つまり典型的なSUVだ。
以上を考慮すると、クラウンエステートは、2022年6月に概要が公表された新型レクサスRXに近い。RXのプラットフォームはクラウンエステートと共通で、ホイールベースも2850mmだから等しい。
RXの全長は4890mmだからクラウンエステートに比べて少し短いが、全幅は1920mmと逆に40mmワイドで、全高も1695mmと高い。
クラウンエステートはトヨタブランド、RXはレクサスブランドという違いがあるから、価格は大きく異なるが、ボディのサイズとスタイルは似ている。
そしてクラウンエステートの開発者は「荷室に実用的な特徴を持たせた」という。全長も4930mmと長いから、荷室に3列目のシートを備える7人乗りを用意する可能性が高い。
ちなみに今のミドルサイズとLサイズのSUVは、アウトランダーやエクストレイルを含めて、3列シート車を用意することが多い。クラウンシリーズがSUVのボディを3種類もそろえるなら、3列シート仕様も含まれて当然だ。
クラウンエステートが3列シートのSUVなら、CX-8もライバル車になる。全長は4900mm、全幅は1840mm、全高は1730mmだからボディサイズはクラウンエステートに近い。そしてCX-8は、全グレードに3列のシートを装着した。つまりクラウンエステートにとって、一番のライバル車はCX-8になる。
問題は価格だ。クラウンエステートは、ハリアーのボディを拡大したような上質感と実用性を併せ持ち、クラウンシリーズでは販売台数が最も増える。
クラウンクロスオーバーは、セダンボディのスペシャルティSUVだから売れ行きが伸び悩むが(1か月の販売目標/3200台を長期間にわたり達成するのは困難)、エステートは実用性も高いから需要が集まる。
このニーズを好調な売れ行きに結び付けるには、割安な価格が不可欠だ。価格の基準になるのはハリアー。2.5LのGハイブリッド4WDが422万円だから、クラウンエステートに同じパワーユニットと4WDを搭載するグレードは、3列シートと上質な内外装を考慮しても、価格を460万円程度に抑える必要がある。
価格が460万円なら、CX-8に2.2Lクリーンディーゼルターボを搭載したXD・Lパッケージ4WDの461万8900円と吊り合う。
クラウンクロスオーバーGアドバンスの510万円に比べると約50万円安く、クラウンシリーズの買い得車になるわけだ。このような価格を設定すれば、エステートが好調に売れてクラウンシリーズの最多販売車種になり「クラウンは廃止できない」という思いを成就させられる。
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