■日本向けのマーチは8月をもって生産終了
そんななか、かねてから日産マーチの生産終了が噂されていたが、タイ日産のマーチ生産工場で、7月26日、マーチのラインオフが行われたというニュースが入ってきた。
日産広報部にこの事実を確認すると「7月26日にタイ工場でラインオフになったのはマーチの国内向け生産となります。実は、日本向けのマーチの生産は6月ですでに終了しております。日本向けのマーチはタイ工場で生産され、追浜工場に運ばれて完成検査が行われるのですが、この8月をもってマーチの最後の完成検査が行われ、生産終了することになります」。
ついにマーチがこの8月をもって40年の歴史に幕を閉じる……。
思えばマーチは、日本人にとって、一番身近なクルマであった。リッターカーで安価ながらも、G・ジウジアーロによる欧州車的なデザインで人気を博した初代マーチ。「マッチのマーチ」というCMキャッチコピーを覚えている人も多いだろう。またこの時代、主にモータースポーツ向けであったがターボ+スーパーチャージャーを積んで「ジャジャ馬」と呼ばれたのがマーチスーパーターボを販売したのも思い出される。
2代目マーチも丸みを帯びたスタイルでパッケージングのよさで大ヒット。日本カー・オブ・ザ・イヤー1992~1993を獲得したほか、日本車として初めて欧州カー・オブ・ザ・イヤー1992~1993を受賞するなど、革新的なコンパクトカーだった。
3代目マーチは、カエルのような顔で登場。登場から20年経った今見ても印象に残る秀逸なデザインではないだろうか。
そしてタイ生産となった4代目の現行マーチとなるわけだが、4代目以降はヴィッツおよびヤリス、フィットにおされ、デザイン、パワートレインにおいても遅れをとってしまった感が否めない。
こうしてマーチの4世代を振り振り返ってみると、マーチという存在は、20代の若者(男女問わず)にとって、最も親しみやすい身近なクルマだった。特に、デザイン性においては、今でも多くの人の心の片隅に残っているのではないかと思う。
海外ではK14型マイクラ(マーチの欧州名)が2017年3月に登場したが、日本では販売されることはなかった。この時点で、日本のマーチの運命は決まっていたかもしれない。
日産は現行マーチの日本販売終了後にどうするのか、明らかにしていないが、はたしてこのまま、日本人に愛されたマーチが日本から消えていっていいのか?
ノートがマーチの代わりになるのか? ノートはe-POWER専用車になって価格も200万円以上で、かつてのマーチに感じるコストパフォーマンスに優れた「手軽に買えるコンパクトカー」という特徴が薄れてしまっている。
日産はヤリスやフィットに用意されているガソリンNAエンジンを搭載するコンパクトカーも用意すべきではなかったか。エントリーモデルとして、運転のしやすさ、割安な価格による購入のしやすさなどがあるからだ。
いずれにしても日産、いや日本から名門「マーチ」が消えてしまうのは実に惜しい。2024年に発売予定のマイクラEVが「マーチEV」として日本で復活することを熱望する。
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コメント
コメントの使い方マーチを気に入って乗っていたので、買い替え候補としてモデルチェンジを待っていた。
後継車がでないのであれば、日産車ではもう欲しい車はないので、買い替えるのであれば他のメーカーの車種にする。
こういった層も少なからずいたと思うので、顧客を取り逃がしてしまうのではないかなとおもった。