まるでコンセプトカーのような出で立ちで市販化されたC-HR。今やもっともホットな市場となったコンパクトSUVであるが、発売当時はまだまだこれから! といった時代であった。
にもかかわらず、見た目の斬新さからか大ヒットに。そして当時はプリウスからの乗り換えが多いなんてささやかれていたが、コレは実際ホントなのか!?
文/佐々木 亘、写真/TOYOTA
■当時プリウスは前年比4割も減!! 影響は超デカかった
C-HRが登場したのは2016年の12月だ。実際の販売台数(登録ベース)で人気を読み解くには、登場から数か月後の実績値を見るほうが良い。そこで、2017年度(2017年4月から2018年3月)までの乗用車車名別の販売台数を見ていこう。
トップは4代目プリウスで14万9083台である。ノート、アクアと続き、C-HRは10万2465台で4位となった。これだけではプリウスの方が人気で、先代プリウスからC-HRへの乗り換えは進んでいないように見える。
しかし、この年のプリウスの販売台数は前年比66.2%と大きく落ち込んだ。トップ10に入った他車では、前年比100%以上の実績を残すクルマが多く、前年を割り込んだクルマでも前年比7~9割程度に収まっていた。
前年の6割まで落ち込んだプリウスの販売結果から、販売台数だけでは見えてこない、大きな影響が見えてくる。
■3代目プリウスの買い替え時期に登場!! プリウスの奇抜デザインからC-HRを支持へ
C-HRが登場した際、開発責任者である古場博之主査は「トヨタに眼を向けてもらい、新しいお客様を獲得するのがC-HRの役割」と話している。当時の国内市場では、圧倒的にトヨタからトヨタへの買い替えが多く、トヨタ販売店では他社ユーザーの獲得に苦労していた時代であった。
しかし、他社ユーザーがC-HRへ乗り換えてくれることを期待し、送り出したトヨタの思惑を超えて、C-HRに最も強い興味を持ったのは、トヨタで一番のボリュームゾーンであるプリウスのユーザーだったのだ。
特に2016~17年は、30系プリウスの前期型が登場して約7年、後期型が登場して5年余りが経過する頃。ユーザーが買い替えに動くタイミングとしてはドンピシャの時期(2回目~3回目の車検を受ける頃)だ。
当時は、4代目プリウスのデザインが奇抜であり、3代目プリウスからの乗り換えが上手く進まなかった時期ともリンクする。ここで登場してきた同排気量のハイブリッドモデルC-HRは、行き場を無くした3代目プリウスユーザーにとって、大きな選択肢となった。
プリウスからC-HRへの乗り換えは大きく進むこととなる。かくいう筆者も、プリウスからC-HRへの乗り換えを検討したユーザーの一人だ。C-HRが販売直後から大ヒットした背景には、クルマとしての素性の高さももちろんあるが、トヨタで最も熱いユーザー層を虜にしたという事実も、大きく関係しているだろう。
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