■ダニ目視キットを車内に置いたら……
筆者は仕事柄、クルマで遠方に取材に行くこともあり、また家族でキャンプや車中泊をしてきたが、自宅はもちろん車内でもダニに刺されたという記憶はない。もちろんダニのアレルギーもないので、これまでダニに悩まされた、という経験はない。
したがって車内にダニがいる、という意識はないのだがまったくいないのか、それともある程度はいても生活に影響がないだけなのかは分からない。そこでダニ目視キットを使って、ダニが車内にいるか検証してみた。
これはダニを引き寄せる誘引剤が塗られたマットを透明なプラスチックのカバーで覆い、隙間から侵入してくるダニを粘着シートでキャッチして保持、カバーの上からルーペやスマホでダニの有無を確認できる、というもの。
撮影用にスマホを乗せるための台(紙製)や、写り込みを防止して目視キットのマットを見やすくするための忍者レフ板、スマホカメラに取り付けるマクロレンズもセットされており、ダニの有無をAIが判定してくれるスマホアプリもダウンロードできるなど、
もちろんこれらはクルマ用ではなく一般家庭用なのだが、クルマ用のダニ退治用品など存在しないし、温度環境が家庭よりも幅広いくらいで、クルマに使えないということはなさそうだ。
ダニは暗いところを好むというので、目視キットをフロアカーペットの上に置いて、上から黒い不織布を被せて光を遮ってみた。
最初は助手席の足元付近に置いて1週間様子を見たのだが、ダニを発見することができなかった。そこで続いてシートの下に目視キット本体を設置、そのまま2週間置いておいたところ…ようやくダニを発見。スマホアプリによるAI判定でも最大4匹を捕獲していた。
スマホのカメラをズームにしてさらにルーペを使って拡大してみたところ、ダニの種類を判別することまでできた。どうやら筆者のクルマにいるのはツメダニのようだ。
このツメダニは、さらに小さいコナダニの捕食者なので、もっと時間をかけて探せばコナダニも見つかる可能性は高い。やはり車内で飲食した際にこぼれたカスなどでコナダニが発生し、ツメダニも現れたと考えるのが正しい推察だろう。
ダニの数が少ないのは、このダニ目視キットを設置した2日後に、クルマで外出し、炎天下の駐車場に半日置いていたことも影響していそうだ。しかしそれは逆に考えれば「炎天下の車内でもダニは生き残る」ということを証明しているとも言える。
ダニは通常50~60度の気温で死滅すると言われている。布団乾燥機などの温風でダニを死滅させる機能があるのも、こうしたダニの特性を利用したものだ。冒頭の「車内にはダニはいない」という説は、こうした環境から生まれたものだが、正しくはなかった。
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