過日、「韓国のソウルで水没したランボルギーニ アヴェンタドールが100万ウォン(約10万円)で売りに出された!」とのニュースが流れた。
2022年8月8日からの集中豪雨により、韓国では1万1000台以上のクルマが浸水被害を受けたようだが、韓国と同じように集中豪雨も多いここ日本における「水没車・冠水車の中古車事情」は、はたしてどうなっているのだろうか? 冠水車は注意点と見分け方を解説していきたい。
文/伊達軍曹、写真/AdobeStock(トップ画像=Alex Tihonov@AdobeStock)
■水没車が中古市場に出る確率はゼロではない!
まず気になるのは「水没車は大手中古車情報サイトに“販売物件”として普通に掲載されているのか?」ということだが、筆者がR社の「CSネット」とP社の「Gネット」を調査した限りでは、「この物件は水没車(冠水車)です」と明示されながら掲載されている物件はゼロだった。
まぁCSネットの約46万台とGネットの約47万台をすべて閲覧したわけではないが、「水没車は、基本的には大手サイトに掲載されない」という理解でOKなはずだ。
しかしそれはあくまで「基本的には」でしかない。水没車であるにもかかわらず、悪徳店がそれを隠したまま「普通の中古車」として掲載している可能性までもがゼロなわけではないのだ。
なにせオートオークション会場には普通に「冠水車コーナー」があり、それを落札している業者も多数存在している。
もちろん、二束三文の業販価格で売られているそれら水没車は、基本的には一般向け市場に出てくることはない。浸水の影響を受けにくいパネル類や足回りパーツなどの「部品取り車」として国内で流通したり、あるいは水没車であることをあまり気にしない国々へと輸出される場合がほとんどである。
だがそういった水没車が、ごく一部の悪徳業者の手によって「普通の中古車」と偽って販売されるケースも、残念ながらゼロではないのだ。
一部のネット記事では「自動車公正競争規約は、冠水車であることの告知義務を定めていない」という旨の内容が掲載されているが、それは間違い。
実際には、冠水車であることを販売店が表示・説明せずに契約した場合は民法95条および96条、さらには消費者契約法4条により、販売店は「契約取り消しの申し出」に応じる必要がある。
とはいえ、これらは「民事の問題」であり、冠水車であることを故意に隠して販売したとしても、いきなり捜査二課の刑事が販売店に乗り込んできて、経営者を逮捕するわけではない。また民法に基づいて契約の取り消しや損害金の賠償を求める場合は、ややこしい「裁判」を起こさなければならない場合も多いだろう。
で、水没車を「水没車じゃないですよ」などと騙して売るようなヤバい連中に対する裁判が、そう簡単に進むはずもない。また勝訴したとしてもバックれられたら、賠償金は1円たりとも入ってこないのだ。
実際、2020年10月に名古屋地裁が車両代金271万円の返還を販売店社長に命じた冠水車事件は、社長本人だけでなく弁護士すら出廷しないという完全バックれ裁判だった模様。当然、原告(水没車を買わされた人)が勝訴はしたものの、代金回収の見通しは立っていないという。
レアケースではあるが、そんな悲劇も起こる可能性がゼロではない現在社会においては、各自で「自衛」するしかない。つまり「水没車(冠水車)の見分け方」を一応は現代人の常識として知っておく必要があるのだ。
コメント
コメントの使い方こういう風に事故車やトラブル車両であることを隠してボッタクリ価格で販売してる店、旧車、ネオクラシック関係は特に多いらしい。先日の燃えてしまった117クーペやローバーミニもおそらくそういう線が強いだろう。