いすゞはジウジアーロデザインのピアッツァに採用
当時はいすゞも乗用車を作っていた。名匠ジョルジェット・ジウジアーロが手がけた美しいハッチバッククーペの初代ピアッツァの目も、半眼・半目のリトラクタブルライト。グリルの細さと目の細さが、ピアッツァのアイデンティティにもなっていた。
2代目ピアッツァも可動式ヘッドランプカバーを備えていたが、デザインはのちに日産にヘッドハンティングされ、日産のデザイン本部長→チーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めた中村史郎が担当した。
ガンダムチックといわれた三菱スタリオン
最後は三菱。1989年に登場したGTOがリトラクタブルを採用している。このGTOはギャランをベースに、4WDや4WSといったいわゆる当時のハイメカを全部乗せにしたクルマ。スタイリングは当時のスポーツカーの基本は押さえつつ、マッチョさを強調したという感じで、リトラクタブルライトもその演出のひとつとして与えられた感じが否めない。
そういう意味では、スタリオン(三菱の青木秀敏がデザイン)のリトラクタブルライトの方がスタイリングにおける必然性があった。ちなみにスタリオンはガンダムチックといわれるが、ガンダムの放送は1979年。スタリオンは1982年のデビューだが、デザインはガンダムの放映以前に固まっていたといわれているので、影響は受けていない。そういう意味では、時代が要求した形だったのかもしれない!?
いかがだったろうか。マツダのFD3S以降、リトラクタブルライトが途絶えてしまった理由だが、米国で「規格型ヘッドライトの使用義務」が廃止されて異型ヘッドライトが解禁され、ライトのデザインの自由度が広がったことが大きい。対人事故の安全性への懸念やオーバーハング部分の重量増加、部品点数・コスト面でのマイナス、一部の国での終日点灯義務化や空気抵抗などの問題が重なったことも背景にはある。
とはいえ効率はともかく、リトラクタブルにはリトラブルにしか出せない味があることも事実。新しいリトラクタブルライトのクルマも見てみたいものだ。
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