国内向けに矢継ぎ早に新型車を投入している日産。昨年から今年にかけて特に元気がよくなってきた。
日産の元気は何が引き金になったのか? そしてこの復調は本物なのか?? 自動車評論家 国沢光宏氏が日産の「今」を斬る!!!
※本稿は2022年8月のものです
文/国沢光宏、写真/NISSAN、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2022年9月26日号
■最近の日産のクルマは本当によくなっている!
最近出てくる日産車が空振りなしのクリーンヒットを続けている!
TOPバッターとなったノートはオーラを含め絶好調!
トヨタの部品不足による工場休業頻発というオウンゴールもあり、6月と7月なんか登録台数3位となった! 今年の総合で4位なんだから素晴らしい。
今年になって登場したアリアやサクラ、フェアレディZはバックオーダーは溜まるばかり。新型エクストレイルもあっという間に1万2000台を受注している。
参考までに書いておくと、我が国における今年7月までの登録台数は昨年の85%にとどまっているなか、日産100.5%。
これで新型セレナがヒットを飛ばせば、縮小均衡策でダイエットした日産の国内販売はバッチリ利益を出せるようになります。ここまで日産車が充実したの、何年ぶりだろうか。
なぜ好調とかと言えば、商品に弱点がないからだと思う。性能やデザインよく、ADASに代表される安全も万全。価格も頑張っている(新型エクストレイルちょっと高い)。
かういう私もサクラを買おうと真剣に迷ったし(悩んでいるウチに補助金売り切れ確実となった)、フェアレディZなんか購入契約しちゃいました。
タイミング的にはゴーン逮捕から4年。
ゴーン体勢終わった後に仕込んだクルマの狙いがよかったということなんだと思う。日本の自動車メーカーの重要な収益源のアメリカ市場も値引きしないで売れるようになった。
この調子で収益上がれば開発予算だって余裕が出る。いろんな意味でいい方向に向かう可能性大。
■でも、販売ディーラーのレベルアップは必須の課題だ!
そんななか、課題も出てきた。ユーザーからすれば「そうなの?」と思うだろうけれど、日産本体とディーラーは別組織。
日産本体があまりに酷かったため、ディーラーは塗炭の苦しみを味わった。そんなことから日産本体とディーラーの関係を見ると最悪と言っていい状況。
日産東京が新型フェアレディZを突如抽選にしたのも(GT-Rの標準グレードが抽選になったのも根っ子は同じ)、日産本体との関係悪化に端を発している。
おそらくこの後サクラの補助金でひともん着あると思う。補助金、10月下旬登録で売り切れになりそう。納期が少しズレただけでユーザーとモメます。
ディーラーからすれば納期遅れた日産側の責任だと考えるだろうし、日産側からすれば「説明して売ってほしい」。そこにはユーザーの気持ちなどなし。
フェアレディZの販売が何の説明もなく突然抽選になったのだってユーザーからすれば「ふざけるな!」。
作るクルマがよくなっている日産、次なる目標はディーラーのレベルアップです。
●フェアレディZ抽選事件とは?…新型フェアレディZの販売に関して、「2022年7月中に契約すれば確実に買えます」という説明を東京日産販売から受けた国沢氏は、ディーラーで契約(内金55万円)。しかし後日、突然「やっぱり抽選販売になりました」と連絡が入り、届いたハガキのQRコードにアクセスするとハズレ。最初から抽選だと聞いていれば販売店に行って説明を聞くこともなく、内金を入れることもなかったのに…「これはあり得ない!」とSNSでも話題になった。
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