プロトタイプとは、「原型」のこと。クルマの世界では、商品化を前提とした試作車を指すことが多い。
多くの場合、プロトタイプがメディアに公開されるのは市販化寸前だが、中にはティザー効果を狙って、かなり早めにお披露目されることもある。
そうやってユーザーをじらすることで、購買意欲を高める効果はあるんだろうけど、中には市販化される前に新鮮味がなくなったり、見飽きてしまうケースもある。
今回は、そういう例をいくつか集めてみました。
文:清水草一/写真:ベストカー編集部
■LFAのプロトタイプは「メチャメチャカッコ悪い!」
これこそ、市販化された時には飽きていた代表選手! あくまで「個人的には」ですが。
LFAのプロトタイプが初めて公開されたのは、2005年1月のデトロイトショーでのことだった。
プロジェクトが始動したのは2000年だったっつーから、この段階ですでに5年近くを経ていたわけだが、とにかく2005年のLFAの写真を見て私は絶句した。「メチャメチャカッコ悪い!」と。
なにしろフロントが恐ろしく不格好。スポーツクーペとしてはかなり高いウエストラインから、三角の積み木みたいなノーズになだれ落ちている。
フロントエンジン&リヤラジエターという構成はユニークだったが、「デザインの基礎から勉強しなおしたほうがよくねぇか?」って感じだった。
2年後、LFAは、ボディをアルミからカーボンに変更して、デトロイトショーに再登場。前よりはマトモになっていたが、それでようやく「ごくフツーのスポーツクーペ」のレベルに達した程度に見えた。
翌年にはオープンモデルが公開されたが、だから何? という感じでスルーした。
そして2009年の東京モーターショー。とうとうLFAの市販モデルが公開された! プロトタイプの初公開から約5年。
ついにLFAは、スープラに毛の生えたようなカッコで販売されることになったのだ! 実際に試乗させていただくと、「これはこれでスゲェな」と思いましたが、スーパーカーは見た目が9割。
最初の段階で「こりゃダメだ」だったので、最後には飽き切って、逆に新鮮にすら感じた面もあったように思います。
■超凡庸ミドシップNSXコンセプトはそのまま市販へ
2012年のデトロイトショーで、「NSXコンセプト」が初公開。
その時点で、まったく新鮮味のカケラもない、超凡庸なミドシップスーパーカーのフォルムに「え~~~~~~っ!」と思ったが、結局ほとんどそのまんまの感じで2016年に正式発表となり、翌年には国内でも市販化されてしまった~~~~~~~っ!
初公開から市販化まで、年月が流れすぎていた面もあるが、問題の根っこは「カッコ悪い」ということだった。
たぶんカッコ良ければ、5年くらい待たされても、それこそティザー効果でますます欲しくなった……のかもしれない。高くて買えないけど。
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