■1DINサイズの全部載せモデルが大ウケ! 一部でオプション扱いに
とはいえ、冒頭で触れたように欧州車などでは当時は1DINが基本。前述したカロッツェリアなどは1DIN×2であればHDD部を別位置に設置することで対応できるが、その後登場した“2DIN一体型”になると設置は不可能だ。
そこに救世主とも言える商品が登場した。それが2005年11月に富士通テン(現、デンソーテン)が発売した「AVN075HD」という1DIN型のインダッシュモニター搭載カーナビである。
「AVN075HD」は1DINサイズに電動インダッシュモニター、20GBのHDD(それもサイズが1.8インチと超小型)、CD/DVD再生や最大で1250曲をHDDの中にリッピング(録音)できるなど当時日本のメーカーが得意としていた「高密度&小型化」の具現化した“全部入り”モデルだった。
実際、このモデルは1DINしかスペースが無い欧州車ユーザーに積極的に受け容れられたし、後継モデルはプジョー車のディーラーオプションとしても採用されるなど、大ヒットモデルとなった。
■消滅要因は故障や振動!! スペース変革で淘汰
カーナビの歴史を振り返ると電動インダッシュモニター搭載カーナビは徐々にその姿を消していった。
理由はいくつかあるのだが、まずは複雑な構造ゆえの故障、路面からの振動によってディスプレイがブルブル震えて画面が見にくい、そして日本市場では2DINスペースを採用する車種が増えてきたことで、前述したスペース上の制約が少なくなったことが挙げられる。
それでもエンジンを起動してディスプレイがウィーンとせり出す姿は当時としては「高級モデルへの憧れ」であったし、デジタルガジェッター(ガジェット好きの意味)にはたまらなく大好物であったことは間違いない。
■インダッシュナビの復活はたぶんなし……純正モニターが主流に!?
では今後電動インダッシュモニターは復活しないのか、と問われるとその答えは「多分、無い」となる。
前述したようにカーナビを含む、インフォテインメントシステムは従来の2DINサイズに囚われないインパネとの一体設計になってきている。ゆえにトレンドとなる“大画面”も実現できているわけだが、この流れはしばらく続きそうだ。
一方で電動機構自体は持たないが、パナソニックのストラーダのようにディスプレイ自体を最初から外側に設置することで、2DINスペースさえあれば大画面化を可能にするフローティングディスプレイ構造が現在のトレンドとなっている。
それでも「電動インダッシュナビが欲しいんだよー」って人もいるだろう。実はAmazonなどのECサイトを見ると、1DINインダッシュナビは数種類存在する。
ナビの性能はあくまでもベーシックなものと思えるが、Android OSをベースとしているのでナビ以外のアプリも動かすことができる。ただそれでもディスプレイサイズは7型が上限であることは認識しておきたい。
今後は純正ディスプレイの大型化やHUDが進化することで安全面にも寄与したインフォテインメントシステムが多く出てくるだろう。しかし、この電動インダッシュモニターは一時代を築いた「カーナビ世界遺産(筆者勝手に命名)」として記憶に残ることは間違いない。
【画像ギャラリー】あの「発進!!」感がよかったよね!! せり上がるモニターのワクワク感が印象的だったインダッシュナビ(4枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方確かにインダッシュモニターナビは初かもなぁ。
それ以前は1DINインダッシュ[モニター]でナビ別体だったんだよ…AVX-P707Wとか。
ヘッドユニットも別に必要で…。
思い出してあげてください。