たしかに黒くなったけど……本当にマツダ販売店は高級になったのか!? 元レクサススタッフの本音

■マツダらしさはどこにある? モノマネでは追い越せない現実

2022年9月に販売を開始したマツダ CX-60。試乗した人からは欧州車の質感を持っているという声も聞く
2022年9月に販売を開始したマツダ CX-60。試乗した人からは欧州車の質感を持っているという声も聞く

 マツダの販売現場で話を聞くと、「お店がレクサスに似ている」と言われることが多く、クルマに関しても「(いい意味で)欧州車のようだ」と話題になるとのこと。ハード面での品格や高級感というのは、ユーザーイメージと噛み合っているようだ。

 対して、現場スタッフに目を向けると、新世代店舗に戸惑いを感じることがあるという。

 マツダのクルマはこういうクルマだ、お店はこういうコンセプトだと集合研修などで口酸っぱく言われるが、現場では、お客様に応じて接遇を使い分けている状態だという。

 凛と澄まして高級ブティックのように構えるのを嫌うユーザーも多く、「これまでのマツダの接遇は大きく変えていないし、突然、高級店になれというのも違うのではないか」、と営業スタッフが話してくれた。

 レクサスでは、いかなる年次でも新規配属されたスタッフは泊まり込みで研修を受ける。そこでは、レクサスの理念を説明され、所作(小笠原流礼法)から話し方、身なりなど、高級の本質を追求するための土台が形成されるのだ。

 このような研修は、新世代店舗になったマツダで実施しているとは聞いたことがない。

 マツダの品格ある店のたたずまいに、期待感をもって入店する人も一定数いるだろう。問題はこうしたニーズに対して、マツダの現場が変化しようという感じが無いところにある。あえて変化しようとしていないようにも見えてくるのだ。

 これまでのマツダと、新世代のマツダは、何を変え、何を同じにするのか。この答えを現場の末端まで浸透させない限り、新世代店舗の取り組みは、単に箱を高級店に似せただけで終わってしまうだろう。これでは過去にBMW・メルセデスの表面だけを追いかけた、レクサスと同じ道を辿る。

 新世代店舗への変革が、歴史のあるマツダを赤子のような状態に戻してしまったのだろうか。販売現場からは、どこへ向かえばいいかわからない、そんな感じを受けてしまう。マツダの店舗とスタッフの接遇は、かなりチグハグした印象だ。

 メーカーが求めるマツダ像と、販売現場が残したいマツダらしさとは何なのか、ここのすり合わせが急務である。

 マツダが好きなユーザーがマツダに求めるもの、それは表向きだけの高級感ではないと思う。少々泥臭いかもしれないが、親しみやすくて真心の感じられる、温かい接遇が、マツダにはよく似合う。

【画像ギャラリー】ヨーロピアンSUVの佇まい!! 新世代ラージ商品群第一弾マツダ CX-60(8枚)画像ギャラリー

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