■ミリ波レーダーの活用も2001年から積極的に
2001年登場の4代目シーマにはミリ波レーダーを使った先行車追従型のアダプティブクルーズコントロールに加え、CCDカメラで道路の白線を読み自分の車線をキープするレーンキープサポートが設定されていた。
当時42万5000円という高額なオプションだった上に、法規により機能する速度域やコーナーの曲率は限定的であったものの、それでもこういったデバイスの登場には驚かされた。
その後10年以上日産の運転支援技術は特に強い印象はなかったものの、2016年の現行セレナで単眼カメラだけで周囲の情報を集め、操舵支援と先行車の追従を行うプロパイロットが登場(自動運転という謳い文句は大いに疑問であるが)。
セレナのプロパイロットはクルマ自体がミニバンなのもあり完成度は今一つだったが、マイナーチェンジされたエクストレイル、現行リーフと時間が経つごとに急速に完成度を高めた。
低コスト化に代表される今後の進化、発展も大いに期待できる。さらに日産は実験車レベルでの自動運転技術も世界トップクラスなのも見逃せない。
【商業的な成功度】
シーマのレーンキープサポート自体は販売、注目度ともにそれほどでなかったが、プロパイロットの基礎になる技術として大きな貢献を果たした。今後の自動運転への足掛かりともいえる。
■GT-Rは日産の技術の粋を集めた1台だ
2007年登場の現行GT-Rはトランスミッションをリアのデファレンシャルと一体としたFRベースの4WDである。
独立型トランスアクスル、大きなダウンフォースと重さを生かし四輪に適切な荷重を掛けグリップに変えるという思想、部位に応じてカーボン、アルミ、鉄を使い分けたボディ構造。
さらに通常800℃程度と言われているエンジンの燃焼温度を1000℃以上に上げ、怒涛の加速と低燃費を両立した3.8リッターV6ツインターボエンジン。
このクルマに搭載された技術たちは、登場から10年以上が経ちながらも「技術の日産」を象徴する、技術の宝庫である。
さらに現行GT-Rのパッケージングは「GT-R専用と思われがちですが、セダンやSUVといった各ジャンル、多くの動力源にも対応できる汎用パッケージなんです」と、生みの親の水野和敏氏は語っている。
それだけに噂には何度も挙がっている、現行GT-Rから派生するモデルというのも期待したい。
【商業的な成功度】
GT-Rの開発費は破格の安さと言われている上に、日産のイメージ向上に絶大な貢献をしたのは言うまでもなく、商業的にも大成功。GT-Rはゴーン体制下でのイメージリーダーになった
■ターボエンジン革命!! VCターボは今後の日産を支える
エンジンの圧縮比は高いほど熱効率が良くなり、燃費やパワーが向上するためできる限り高くしたいところ。
しかし圧縮比が高過ぎると高負荷時にノッキングが起きエンジンの損傷につながるため、いろいろな折り合いを見て圧縮比を決めていたのが今までのエンジンであった。
そこで日産の技術者はこう思ったはず。
「圧縮比を常に適切なものに変えられれば、いつでも最高の燃費とパワーを得られる」と。そんな思いで開発されたであろう技術がVCターボ。
「VC」はVariable Compressionの略で、可変圧縮比の意味だ。
VCターボはクランクシャフトとつながっているピストンの位置をアクチュエーターを使った回転運動で最大約6mm移動させ、圧縮比をシームレスに変えられるというもの。
圧縮比は8:1から14:1の範囲で可変する。書くのはとても簡単だが、実用化には前述したエクストロイドCVTのように超高度な各部の強度や精度、超精密な制御が要求され、開発にはこちらも約20年が費やされたという。
なお、現在VCターボは3.5リッターV6の代替として新開発の2リッター直4に組み合わされ、北米向けのインフィニティQX50(ミドルSUV)とアルティマ(カムリやアコードと同クラスの4ドアセダン)に搭載されている。
現時点でも完成度は高いとのことなので、ぜひ日本にも何らかの形での導入を熱望する。
【商業的な成功度】
現時点では未知数だが、今後日産のダウンサイジングターボの性能を向上させる重要技術として広まっていくだろう。
■まとめ
この他にも日産は2000年に低排出ガス★4つをブルーバードシルフィの1.8リッターエンジンで最初にクリアした。
2008年に尿素水なしで厳しい日本の排ガス規制を真っ先にクリアした先代エクストレイルディーゼル、現行スカイラインのステアバイワイヤなど技術的な躍進は実は止まっていない。
やはり平成が終わろうとしても「技術の日産」は健在と断言できる。それだけに今後はそういった技術が庶民にも買えるクルマにもドンドン盛り込まれるのを強く期待したいところ。
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