【初代誕生から最新15代まで】 クラウンだから生まれたエピソード 8選

  早いもので今年もいよいよ最後の月となった。自動車界に限らず、様々な出来事が吹き荒れた1年となったが、5年半ぶりにフルモデルチェンジしたクラウンの登場は新たな風を吹き込んだトピックのひとつだったと言っていいだろう。1955年の初代誕生から60余年の月日が流れたが、この間クラウンは、クラウンならではと呼ぶにふさわしい、数々のユニークなエピソードを生みだしてきた。

 今回はその一部を振り返ってみたい。

〈歴代クラウンのキャッチコピー(詳細はepisode4)〉

初代「
軽快・堅牢なシャシー、広くて快適な車室」
2代目「クラウンによせられる信頼」
3代目「白いクラウン」
4代目「エレガンツ・クラウン誕生」
5代目「美しい日本のクラウン」
6代目「日本の薫り」
7代目「いつかはクラウン」
8代目「満たされて、新しいクラウン」
9代目「すべては、クラウン」
10代目「美しく、走る。日本のクラウン」
11代目「21世紀へ。このクラウンで行く」
12代目「ZERO CROWN」
13代目「超えてゆく、ブランド」
14代目「CROWN ReBORN」
15代目「未来とつながるか。CROWN BEYOND」

※本稿は2015年1月のものに適宜修正を加えています
文:ベストカー編集部/写真: TOYOTA、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2015年2月26日号


episode1 クラウンを作った男・中村健也

 初代クラウンの開発主査を務めたのは中村健也氏で、2代目クラウン、初代、2代目コロナ、初代センチュリーの主査も務めた。「乗用車をやらんような会社はもうつぶれるしかない」という強い信念のもと乗用車専用のシャシーを開発し、フロントにダブルウイッシュボーンサスを採用し、日本中を驚かせた。

 というのも、外国メーカーとの提携によるノックダウン生産が当たり前だった当時、純国産設計で開発されたことは、日本人の誇りともなったからだ。

 1980年にトヨタを退社後、ハイブリッド技術を自宅で研究し続けたというエピソードも残る、超一級の技術者であった。

初代クラウン主査の中村健也氏(左)と当時撮影されたクラウンの貴重な写真

episode2 クラウンの商用車

 初代クラウンRSと同時にタクシー仕様としてトヨペットマスターRR型が発売された。フロントマスクは一見似ているが、シャシーやフロントサスペンションが違い、何よりトヨペットマスターのほうは通常のヒンジドアだった。

 このトヨペットマスターをベースにマスターラインバンとマスターラインピックアップが生まれ、2代目までマスターラインシリーズとしてラインアップされたが、3代目からはクラウンバン、クラウンピックアップとなった。ちなみに初代、2代目マスターラインピックアップにはダブルキャブもあり、ランクル70以上にかっこいいかも!?

 クラウンピックアップは3代目で、クラウンバンは9代目で絶版となった。

初代クラウンと同時期発売されたトヨペットマスターRR

現在でもマニアックな人気を誇る3代目クラウンピックアップ

初代マスターラインピックアップの2ドアダブルキャブ

episode3 クラウンの北米仕様

 クラウンは国内専売と思っている方も多いが、初代クラウンから北米に輸出されていた。これは1959年のシカゴオートショーに出展されたクラウンで、出展したのはハリウッド・トヨタという販売会社だった。現代のコンパニオンとでもいうべき女性は日系二世の方が務めたという。

 1958年6月、最初に輸出されたクラウンは30台で、ヘッドライトの照度が足らず、日本からヘッドライトを付けずに輸出し、現地でGE製のヘッドライトを装着したという。

 また高速道路でのパワー不足や高速安定性の悪さや振動などの問題が持ち上がり、クラウンは一旦撤退を余儀なくされた。

和服女性の横には松があり、純和風だ

episode4 クラウンのCMコピー

 クラウンに名コピーは多いが、やはり最も印象に残っているのは1983年に誕生した7代目クラウンの「いつかはクラウン」だろう。

 2010年に行われた「あなたが選ぶ歴代クラウンベストCM」というキャンペーンでも「いつかはクラウン」が1位、2位が1974年誕生の5代目「美しい日本のクラウン」3位が2003年誕生12代目の「ZERO CROWN」だった。

 ちなみに販売台数が最も多いのは8代目で、バブル期の1990年にはシリーズで23万9858台も売れている。この年は月間販売台数で、カローラを凌いだこともあった。

クラウンのコピーは時代を表わしているといわれるが、MC時に生まれたキャッチにも面白いものが多い

episode5 幻の空港リムジンカー

 クラウン60年の歴史のなかで最大の「びっくり」はこのモデルだろう。1977年に行われた第22回東京モーターショーに出展された「空港リムジン」という名のモデルがすごい。

 ご覧のように5代目クラウンのワゴン仕様カスタムをベースにホイールベースを350mmまでストレッチ、全長は5560mmという巨大なモデルで6ドアの9人乗りだ。

 エンジンはベースにもあった2.6L、140psというものだった。当時すでにハイエースはあったが、こちらのほうが“フォーマル”だったのだろうか!?

 残念ながら市販されなかったが、インテリアまでしっかり作ってあり、かなり本気だったことがわかる。

さすが全長5560mmは長い! ルーフには9人ぶんのトランクが載っているところにも注目

episode6 日本シリーズMVPの副賞

 トヨタが野球の日本シリーズの最高殊勲選手賞としてクルマを提供し始めたのは1954年のRH型トヨペットスーパーが最初だが、翌1955年からはクラウンとなった。トヨタの提供は2006年まで続くが、日本シリーズにめっぽう強かったチョーさんこと長嶋茂雄氏は1963、1965、1969、1970年と4回輝き、4台のクラウンをゲットした記録が残る。

episode7 クラウンのブライダル仕様

 1989年クラウンセダンをベースに開発され、1996年クラウンコンフォートに引き継がれた。文金高島田の花嫁さんがそのまま乗れるように、後席左側の天窓が開く仕様があった。

 これはクラウンコンフォートだけでなく、オーテックジャパンが製作したY31セドリックにも同様のブライダル仕様があった。タクシー会社にもよるが、だいたい料金が高かったそうだ。

 花嫁さんの送迎はミニバンが主流となり、クラウンコンフォートのブライダル仕様もラインアップから外れていった。

後席の屋根が開くことで文金高島田を結ったお嫁さんが楽に乗り降りできたクラウンコンフォート

episode8 クラウンのオープン

 パレードに欠かせないクラウンオープン。古いクラウンオープンを所有するのが警察。だいたい1月には各都道府県警察が年頭視閲式というパレードを行い、そこに登場するのがクラウンのオープンだ。

 走行距離が伸びないため古いモデルが多く、写真は山口県警所有の5代目ロイヤルサルーンベースのモデルだ。千葉県警は4代目のクジラクラウンのオープンを持ち、人気となっている。

山口県警所有のクラウンオープンはルーフが残り、リアだけオープンになる(Photo:大塚正諭)

ピンクのクラウンのオープン

歴代15台のクラウン

1955年 初代 RS型
●全長×全幅×全高=4285×1680×1525mm
●直4OHV1453cc(48ps/10.0kgm)
●価格101万4860円
●観音開きドア

1962年 2代目 RS40系
●全長×全幅×全高=4610×1695×1460mm
●直4OHV1897cc(80ps/14.5kgm)
●価格105万円(DX)
●V8、2.6Lをクラウン・エイトに搭載

1967年 3代目 MS50系
全長×全幅×全高=4610×1690×1420mm
●直6SOHC1988cc(110ps/16.0kgm)
●価格112万円(スーパーDX)
●2ドアハードトップ追加

1971年 4代目 MS60系
●全長×全幅×全高=4680×1690×1420mm
●直6SOHC1988cc(115ps/16.0kgm)
●価格118.8万円(スーパーDX)
●後輪ESC(横滑り防止装置)

1974年 5代目 MS80系
●全長×全幅×全高=4765×1690×1440mm
●直6SOHC1988cc(135ps/17.5kgm)
●価格174.5万円(4ドアピラードHT)
●オーバードライブ付4AT

1979年 6代目 MS110系
●全長×全幅×全高=4860×1715×1435mm
●直6SOHC2759cc(145ps/23.5kgm)
●価格280.7万円(2800HTロイヤルサルーン)
●トヨタ初のターボラインアップ

1983年 7代目 MS120系
●全長×全幅×全高=4690×1690×1410mm
●直6SOHC1988ccターボ(145ps/21.5kgm)
●価格272.2万円(2000HTスーパーサルーンEX)
●スーパーチャージャー追加

1987年 8代目 MS130系
●全長×全幅×全高=4860×1745×1410mm
●直6DOHC2954cc(190ps/26.0kgm)
●価格174.5万円(3000HTロイヤルサルーン)
●3ナンバー専用ボディ

1991年 9代目 JZS140系
●全長×全幅×全高=4800×1750×1440mm
●直6SOHC2759cc(180ps/24.0kgm)
●価格329万円(2500HTロイヤルサルーン)
●マジェスタ登場

1995年 10代目 JZS150系
●全長×全幅×全高=4820×1760×1425mm
●直6DOHC2997cc(220ps/30.0kgm)
●価格365万円(3000HTロイヤルサルーン)
●モノコックボディ採用

1999年 11代目 JZS170系
●全長×全幅×全高=4820×1765×1455mm
●直6DOHC2491ccターボ(280ps/38.5kgm)
●価格375万円(アスリートV)
●アスリート登場

2003年 12代目 GRS180系
●全長×全幅×全高=4840×1780×1470mm
●V6DOHC2994cc(256ps/32.0kgm)
●価格420万円(アスリート)
●V6エンジン採用

2008年 13代目 GWS200系
●全長×全幅×全高=4870×1795×1470mm
●V6DOHC3456cc+モーター(システム出力345ps)
●価格619万円(クラウンハイブリッド)
●プリクラッシュセーフティ採用

2012年 14代目 AWS210/GRS210系
●全長×全幅×全高=4895×1800×1450mm
●直4DOHC2493cc+モーター(システム出力220ps)
●価格410万円(アスリート)
●2.5Lハイブリッド搭載

2018年 15代目 ARS220/GWS224系
●全長×全幅×全高=4910×1800×1455mm ※後輪駆動
●直4DOHC2487cc+モーター(システム最高出力226ps)
●価格562万円(2.5LハイブリッドG)
●車載通信機DCMを全車に標準搭載

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